2021 Fiscal Year Annual Research Report
Development of new therapies using outer membrane vesicles derived from gut microbiota
Project/Area Number |
20K21603
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
山下 智也 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (90437468)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 腸内細菌外膜小胞 / 菌体毒素 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、腸内細菌の外膜小胞(Outer membrane vesicles; OMVs)を介する生体作用を解明して、疾患治療への応用の可能性を検証することである。OMVsは、細菌が分泌する20~250nm程度の大きさの脂質二重膜構造を持つ球状の小胞で、リポ多糖を含む種々の菌体成分や各細菌のタンパクや核酸が含まれる。 本課題では、我々が研究を進めている動脈硬化を予防する腸内細菌Bacteroides vulgatusとBacteroides doreiのOMVsについて、(1)構造・内容物、(2)生体内動態、(3)生体作用(動脈硬化への影響)を明らかにすることを目標とした。 最終年度は、OMVsの腸管内から生体内(血液への)移行を調査した。マウスに蛍光色素でラベルされたOMVsを経口・経腸投与したが、臓器への移行は確認できなかった。次に、細菌OMVs由来の20数塩基のmiRNA、smallRNAのRNAシーケンスを実施した。ヒトの血中移行を検証するため、すでに公開されたヒト血中のmiRNAのシーケンスデータ中に、我々が遺伝子解析した菌由来miRNAの存在を検証したが、含まれていなかった。この2つの実験結果から、腸管内に存在するBacteroides菌由来のOMVsは、ほぼ血液中へは移行しないと結論づけた。菌のOMVs中のmiRNAとヒトの既報のmiRNAとの相同性も検証したが、数塩基程度しか重ならず、仮に生体内移行しても、このmiRNAがRNA干渉などの機序で遺伝子発現に影響を及ぼす可能性は低いと考えた。 以上の結果を受け、生体作用(動脈硬化への影響)を評価する実験はキャンセルすることになった。その後、当初の計画を変更し、OMVsに含まれる菌体外毒素リポポリサッカライドに着目した実験を実施し、動脈硬化に与える影響と機序の解明に成功し、一定の成果を得た。
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Research Products
(14 results)