2022 Fiscal Year Annual Research Report
Identification of HLA class I molecules with the capacity of mediating lipopeptide presentation
Project/Area Number |
20K21615
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
杉田 昌彦 京都大学, 医生物学研究所, 教授 (80333532)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | HLA / リポペプチド |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者は、アカゲザルエイズモデルの免疫解析をもとに、N-ミリストイル化ウイルスタンパク質に由来するN末端リポペプチド断片を標的とした細胞傷害性Tリンパ球(CTL)応答の存在を明らかにし、リポペプチド抗原提示を担う特定のアカゲザルMHCクラス1分子(Mamu-B*098, Mamu-B*05104)を同定した。アカゲザルからヒトへの研究展開において、ヒトリポペプチド提示分子の同定と構造、機能の解析は極めて重要である。本研究課題において、アカゲザルリポペプチド抗原提示分子の詳細な構造解析をもとにリポペプチド結合を制御するクリティカルなアミノ酸残基を推定し、ヒトHLAデータベースからリポペプチド結合HLAクラス1分子候補を絞り込んだ。これらの可溶性リコンビナントタンパク質を調製し、リポペプチド依存的複合体形成をHPLCでモニターすることにより、リポペプチド結合能をモニターした。その結果、HLA-A2402とHLA-C1402がリポペプチド結合能を有することが明らかになった。さらにリポペプチド結合複合体のX線結晶構造を解明し、結合様式を明らかにした。既知のアカゲザルリポペプチド提示分子とは異なり、HLA-A2402やHLA-C1402はリポペプチドだけでなくペプチドも結合することができる。そこでそれぞれを結合した複合体の結晶構造を詳細に比較した。その結果、抗原結合溝のBポケット内の水素結合ネットワークがリガンド依存的にリモデリングされ、P2アミノ酸(ペプチドの場合)やミリスチン酸(リポペプチドの場合)を収納することがわかった。このBポケットリモデリングは、抗原提示分子が変異を伴うことなくリガンドレパトアを拡大する新規機構である。ヒトリポペプチド免疫応答を個体レベルで評価するため、HLA-A2402トランスジェニックマウスの作出に着手し、樹立を完了した。
|