2020 Fiscal Year Research-status Report
IMiDsにおける新規基質同定による新規がん治療戦略の構築
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20K21617
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
菊繁 吉謙 九州大学, 大学病院, 講師 (40619706)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
赤司 浩一 九州大学, 医学研究院, 教授 (80380385)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | IMiDs / アロマターゼ |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はまず、先行研究で得られたアロマターゼがIMiDs存在下でセレブロンの基質となることで血小板形成の最終段階であるProplatelet formationを阻害することがIMiDsによる血小板減少症の原因であることをBlood誌に報告した(Tochigi et al,, Blood 2020)。本論文では、IMiDsを用いたアロマターゼ産生抑制モデルの妥当性を証明し、乳がん治療への応用について議論することができた。この発表をもとに、2020年度は研究計画に従い、乳がん細胞株と腫瘍微小環境構成細胞をマトリジェルを用いて混在させた状況で免疫不全マウスへの異種移植系に取り組んだ。これは多くの乳がん細胞がエストロゲン産生を周囲の微小環境に依存しているモデルを再現するためである。腫瘍微小環境構成細胞の候補として複数のアロマターゼ産生細胞との混合実験を行ない、in vivoにおけるエストロゲン産生に寄与することを確認した。この移植系を用いてアロマターゼ阻害剤感受性乳がん細胞株がマウス内で再構築されることを複数のマウス実験で確認した。マウス由来のエストロゲンの影響を避けるために、雄免疫不全マウスに移植を行った結果、予想外に免疫不全マウス内での腫瘍の増殖に時間がかかることが判明した。この結果を踏まえて現在、移植する細胞数の最適化に取り組んでいるが、腫瘍自体の生着は確認されたことから、アロマターゼ産生腫瘍微小環境を有する乳がん細胞株の異種移植モデル自体は概ね確立されたと考えられる。そこで現在は、上述のヒト乳がんモデルマウスの最適化に加えてマウスへのIMiDs投与実験を開始している段階である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上述のように腫瘍微小環境を模した免疫不全マウスへの異種移植系の構築に時間を要したが、腫瘍モデルは形成され、IMiDs投与実験も開始できていることから概ね順調に経過しているものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、上述のマトリジェルを用いたヒト乳がん細胞株の異種移植実験を継続し、治療モデルの最適化に取り組む。具体的には、乳がん細胞株に対してin vivoで抗腫瘍効果が認められるIMiDs投与量および投与時期、期間について検討を行う。これらの実験系を用いてIMiDsがアロマターゼ阻害により、乳がんに対する治療薬となりうるコンセプトの確認に取り組む。さらに細胞株による治療モデルの確立が完了した段階で、次のステップとして同様の腫瘍微小環境を模した異種移植モデルの確立を患者検体由来乳がん細胞を用いて取り組む。患者検体由来乳がん細胞を用いた場合のアロマターゼ産生腫瘍微小環境を模す細胞として最も適切な細胞の検討にも取り組む。これらの研究を通して細胞株のみならず、実際のクリニカルサンプルを用いた実験系でもIMiDsによる乳がん治療モデルの構築に取り組む。
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Research Products
(1 results)