2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of novel region-selective epigenetic inhibitors against gastroenterological cancer
Project/Area Number |
20K21625
|
Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
金田 篤志 千葉大学, 大学院医学研究院, 教授 (10313024)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
Keywords | がん / エピゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
DNAメチル化やヒストン修飾等のエピゲノム情報は発生分化や細胞リプログラム等、細胞運命を決定する鍵となり、その異常は癌など様々な疾患の原因となる。それゆえエピゲノム修飾を標的とした機能性分子による治療法の開発が求められているが、従来の機能性分子単剤では作用領域がゲノム全体に及ぶため、阻害効果が過多となる弊害がある。この問題点を解決する手段として本研究では、DNA配列認識能を有するピロール-イミダゾールポリアミド(PIP)を融合させ、機能性分子の作用領域を局所化させる技術開発を行った。ヒストン脱メチル化酵素阻害剤NCD38に対してPIPとの縮合反応ができるようカルボキシル基などを導入した誘導体を作成し報告しているが、さらにヒストン脱メチル化酵素阻害剤NCD38の縮合剤の構造を大幅に簡略化したプロトタイプ化合物を作成し、また同様にヒストン脱アセチル化酵素阻害剤も大幅に簡略化した構造でPIPと縮合し、それぞれ腫瘍細胞へ投与して増殖抑制作用および領域選択的なエピゲノム阻害効果を認めた。並行して標的となるエピゲノム異常領域を同定する解析では、胃上皮細胞に発癌性ストレスとして EBウイルス感染システムを用いて誘導される異常エピゲノム変化を同定したところ、胃上皮細胞ゲノムのヘテロクロマチン領域においてヒストン不活化マークH3K9me3が消失し、エンハンサー活性化マークH3K4me1, H3K27acを獲得していた。これらの異常活性化エンハンサーは周囲の遺伝子と新たな近接構造を構築し、癌関連遺伝子の発現を異常亢進して発癌に寄与していた。これらのエピゲノム変化領域に濃縮して認める塩基配列を標的とするPIPをデザインし、異常活性化を阻害するためヒストンアセチル化酵素阻害剤を縮合した化合物について、現在投与・検証を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ヒストン脱メチル化酵素阻害剤NCD38の縮合剤の構造を大幅に簡略化したプロトタイプ化合物を作成し、また同様にヒストン脱アセチル化酵素阻害剤も大幅に簡略化した構造でPIPと縮合し、それぞれ腫瘍細胞へ投与して増殖抑制作用および領域選択的なエピゲノム阻害効果を認めるなど化合物合成について順調に進めている。エピゲノム異常誘導モデルを用いた重要なエピゲノム変化領域の同定についてもEBウイルス感染モデルを用いた解析、前立腺癌を用いた解析、どちらも計画通り遂行し、有力な標的領域を同定した。標的となり得る塩基配列を認識するPIPをエピゲノム阻害剤に縮合した化合物について、計画通り検証実験を行っており、計画を上回るペースで進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
標的となり得る塩基配列を認識するPIPをエピゲノム阻害剤に縮合した化合物について、検証実験を進めるとともにそのデータから化合物の改良を行い、シーズ化合物を合成していく。
|