2021 Fiscal Year Research-status Report
大腸癌の予後を規定する神経周囲侵襲に関わる分子メカニズムの解明
Project/Area Number |
20K21626
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野澤 宏彰 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80529173)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石原 聡一郎 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (00376443)
川合 一茂 東京大学, 医学部附属病院, 准教授 (80571942)
園田 洋史 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80770205)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 大腸癌 / 神経侵襲 / 神経栄養因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
大腸癌培養細胞(DLD-1,HCT-116, HT-29)の伸展刺激による神経栄養因子とそれらの受容体の発現量の変化をSYBR Greenを用いたRT-qPCR(定量的逆転写PCR)デルタ・デルタ法で比較した。 まずGenBank の情報に基づいて既知の神経栄養因子とこれらの受容体のprimerを設計した。次にアストロサイトーマ培養細胞(U-251)を用いてRT-qPCRを施行し、前述の神経栄養因子と受容体の増幅を確認した。続いてDLD-1,HCT-116 ,HT-29それぞれについて、伸展刺激を加えず培養した細胞(Stretch-)と、細胞伸展培養装置を用いて伸展刺激を加えながら培養した細胞(Stretch+)を用意した。そしてStretch-,Stretch+の各々からmRNAを抽出し、RT-qPCRを用いて前述の神経栄養因子と受容体の発現量を比較した。 DLD-1のStretch-では、BDNF,GDNF,NT-3,NT-4,CNTFR,NTRK1,NTRK2の発現が確認され、Stretch+ではBDNFの発現量が著しく増加した。 HCT-116のStretch -では、BDNF,CNTF,GDNF,NT-3,NT-4,CNTFR,NTRK1,NTRK2,p75の発現が確認されたが、Stretch+で発現量が増加したものはなかった。 HT-29のStretch -では、BDNF,CNTF,NT-3,NT-4,CNTFR,NTRK2の発現が確認され、Stretch+ではBDNF,CNTFの発現量が著しく増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度と今年度の研究予定をいれかえる必要があったが、おおむね数個の標的に絞り込んで臨床検体での発現検討を行う準備が整いつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
BDNF,CNTFを中心にその他の神経栄養因子および受容体の発現を大腸癌臨床検体で行い、実際に大腸癌の腫瘍のどの細胞がoriginなのか、周囲の正常組織が発現しているのか、また閉塞の観点、Pn発現、さらに口側・肛門側の観点から相関について解析する。 in vitroの実験としては、神経栄養因子の発現を調節する上流のシグナル伝達経路のkey mediatorについて、阻害剤の効果を検討し、予後と関連するとされるPnを抑制できる潜在的治療薬としての可能性を模索する。
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