2020 Fiscal Year Research-status Report
Characteristics of brain functional shift accompanied with brain tumor
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20K21649
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
中田 光俊 金沢大学, 医学系, 教授 (20334774)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
篠原 治道 金沢大学, 医学系, 客員教授 (20135007)
木下 雅史 金沢大学, 医学系, 講師 (50525045)
中嶋 理帆 金沢大学, 保健学系, 助教 (60614865)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 脳可塑性 / 機能シフト / 覚醒下手術 / 脳腫瘍 / 白質解剖 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳に腫瘍が発生した時、腫瘍の緩徐な進展により脳局所が侵されたとしても、脳機能が損なわれない場合がある。これは脳に備わる可塑性により脳機能がシフトしたためと考えられる。現在、脳機能シフトのパターンやメカニズムの詳細は全く分かっていない。 本研究では脳機能シフトの法則と限界を明らかにする。得られる知見は、脳病変の完全摘出と機能温存を基本理念とする脳神経外科手術に革新的な進歩をもたらすと考えられる。 初年度は機能シフトの法則を見出すことを目指した。まず、種々の脳機能の中でも運動機能と言語機能に焦点を当てた研究を行った。運動機能の2種類の法則に従ってシフトすることを覚醒下手術所見より見いだした。脳回内での移動(ホムンクルスの変化)と脳回を越える移動である(Nakajima, Nakada. Front Hum Neurosci 2020)。このシフトは運動野への病変の進展と複数回の手術により誘発された。また、言語機能の移動は運動と異なる法則が見いだされた。言語機能は古典的言語領域に腫瘍が進展したときに本来の機能局在から移動する。しかしながら古典的言語領域で言語症状が誘発されるのは約50%に留まった。さらに、脳腫瘍症例において感情識別能力の機能局在として同定された領域は先行研究の報告より広範囲であることから、これらの症例においては周囲に機能がシフトしている可能性がある(Nakajima, Nakada. Front Hum Neurosci 2021)。同様の傾向は作業記憶、視空間認知においても認めた(Nakada. J Neurooncol 2020)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は機能シフトの法則を同定することを目指し、その成果を報告した(Nakajima, Nakada. Front Hum Neurosci 2020)。言語機能の移動は運動と法則については日本脳神経外科学会第79回学術総会(2020)、第44回日本脳神経CI学会総会(2021)で学会発表しており、さらに研究を進める予定である。さらに、脳腫瘍症例において感情識別能力(Nakajima, Nakada. Front Hum Neurosci 2021)、作業記憶、視空間認知の機能局在(Nakada. J Neurooncol 2020)について報告した。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は言語機能シフトの法則と限界についての解析を継続する。また、初年度の研究において脳腫瘍症例においては感情識別能力、視空間認知、空間性作業記憶の機能局在として同定された領域は先行研究の報告より広範囲であった。このことから緩徐に病変が進展する脳腫瘍における高次脳機能は本来の局在から周囲に機能がシフトしていると推測した。現在はこの考察を仮説としたさらなる解析を行っており、2021年度中に結果を出す予定である。
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Causes of Carryover |
前年度は研究期間が短く、未使用額が生じたが研究は計画通り進んでいる。研究費使用も予定通り進める。
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