2022 Fiscal Year Annual Research Report
次世代ヒト化シンジェニックマウスによる腎癌免疫ニッチの再現と治療評価モデルの樹立
Project/Area Number |
20K21652
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小川 修 京都大学, 医学研究科, 名誉教授 (90260611)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
嘉島 相輝 秋田大学, 医学系研究科, 助教 (50842952)
中村 英二郎 国立研究開発法人国立がん研究センター, 中央病院, 医長 (90293878)
後藤 崇之 京都大学, 医学研究科, 講師 (90806605)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | エクソソーム / 患者癌組織由来ゼノグラフト / 薬剤抵抗性 / 転移形成 / 腫瘍間質相互作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
免疫不全マウスNOGおよびNOG-MHC double knockout mouse(NOG-DKO)に対して健常人ドナー由来の末梢血単核細胞を移植し免疫細胞ゼノグラフトを樹立した。NOGは投与後約1か月で移植片対宿主病(GVHD)で死亡するのに対し、NOG-DKOはPBMC投与1か月時点でもGVHDによる死亡を認めなかった。Flow cytometry解析によりCD4+, CD8+, CD4+CD25+細胞が検出可能であり、NOG-DKOを用いる妥当性を確認した。 京都大学で樹立され安定的に継代可能であるPDX(KURC1)に加え秋田大学で24例の腎癌患者から手術検体を採取し、安定継代可能な新規PDXを3系統樹立した。PDXに同一患者由来の末梢血単核細胞を移植することで、同一患者由来腫瘍組織+免疫細胞PDXを作成した。この新規PDXモデルを用いて、免疫チェックポイント阻害薬であるヒト抗PD-1抗体投与群(n=4)とアイソタイプコントロール投与群(n=5)における治療開始1か月時点での腫瘍浸潤リンパ球および末梢血単核球細胞を解析し比較した。Flow Cytometryの結果、ヒト抗PD-1抗体投与群ではコントロール群と比較し末梢血中・腫瘍組織中のいずれもマウスCD45+に対するヒトCD45+細胞の割合が有意に増加しており、また末梢血中のヒトCD8+細胞も増加傾向であった。治療終了後に摘出した腫瘍に対して免疫染色を行った結果、ヒト抗PD-1抗体投与群でヒトCD8+細胞およびKi67+CD8+細胞が有意に多く浸潤していたことから新規PDXの生体内でヒト抗PD-1抗体による患者癌免疫反応を再現できたと考えられた。さらにこの新規PDXを用いて抗PD-1抗体と新規治療標的の併用療法実験を行った結果、併用療法群は単剤療法群と比較して腎癌患者由来ゼノグラフトの腫瘍増殖を有意に抑制した。
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