2020 Fiscal Year Research-status Report
高効率体外精子形成法の開発を目指したレトロトランスポゾン発現の制御
Project/Area Number |
20K21657
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
佐藤 卓也 横浜市立大学, 生命医科学研究科, 助教 (70599505)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古目谷 暢 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (60721082)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 体外精子形成誘導 / 器官培養 / 精巣 / レトロトランスポゾン / 逆転写酵素阻害剤 / LINE1 |
Outline of Annual Research Achievements |
マウスの体外精子形成誘導の効率は非常に低く、精子産生数は生体内の10分の1程度に過ぎない。我々は逆転写酵素阻害剤が新生仔マウス精巣のin vitro精子形成効率が向上させることを見出した。逆転写酵素阻害剤はレトロ転移を抑制するという作用機序から、in vitro精子形成を阻害する原因はレトロトランスポゾンの過剰発現にあると仮説を立ている。このレトロトランスポゾンの過剰発現の原因を明らかにすることで、in vitro精子形成の効率改善につなげたい。 本年度は、in vitro精子形成に対する逆転写酵素阻害剤の効果について詳細な検討を行った。以前に我々は、胎仔マウスの精巣においても、器官培養によって精子形成の誘導ができるが、新生仔マウスの精巣よりも、その効率は劣ることを報告していた。今回、この新生仔マウス精巣(E14)の器官培養においても、逆転写酵素阻害剤が顕著な精子形成誘導効率の改善効果があることが分かってきた。胎仔期の生殖細胞はレトロトランスポゾンの発現が活性化する時期でもあるため、器官培養下における何らかのストレスでレトロトランスポゾンの脱抑制が促進されている可能性が考えられる。また、器官培養を行った精巣においてレトロトランスポゾンの一種であるLINE1が発現しているかどうか調べるため、培養した精巣組織を抗LINE1 ORF1p抗体で免疫染色を行った。さらに、レトロトランスポゾンの発現によってin vitro精子形成が阻害されるかどうかどうか明らかにするために、レトロトランスポゾンをRNAiによって発現抑制する実験を行った。そのため、LINE1に対するshRNA発現レンチウイルスベクターの作製を行った。今後、このレンチウイルスを使って、器官培養した精巣でLINE1の発現を抑制した時に精子形成誘導効率が改善されるかどうか調べる計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度中に抗ORF1抗体による器官培養精巣におけるレトロトランスポゾンの発現定量を完了する計画であったが、染色条件の決定に時間がかかり遅れている。また、LINE1に対するshRNA発現レンチウイルスの作製も遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
抗ORF1抗体で器官培養を行った精巣組織におけるレトロトランスポゾンの発現定量を進める。さらに定量PCR法やRNA-seqなどを用いて詳細なレトロトランスポゾンの発現解析を進める計画である。 LINE1に対するshRNA発現レンチウイルスは、十分なタイターのウイルスが作製できず時間がかかってしまったので、共同研究あるいは受託研究によって作製することで効率的に進めたい。 E14の胎仔期精巣の器官培養において、これまで従来法では全く精子形成誘導ができなかった。より未熟な精巣でも逆転写酵素阻害剤を使用することで、in vitroでの精子形成誘導を試みる計画である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響で学会参加がなくなったため。次年度はレンチウイルス作製等のための経費に利用する予定である。
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