2021 Fiscal Year Research-status Report
Proposal of a novel therapy for bullous keratopathy based on human-derived multiomics analysis
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20K21663
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Research Institution | Tokyo Dental College |
Principal Investigator |
山口 剛史 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (20383771)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
比嘉 一成 東京歯科大学, 歯学部, 講師 (60398782)
杉本 昌弘 東京医科大学, 医学部, 教授 (30458963)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 水疱性角膜症 / 前房水 / メタボローム解析 / 角膜内皮細胞 / 角膜移植 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、①角膜内皮細胞の病的前房水・正常前房水への細胞応答をEx vivoで検証し薬剤効果を評価する実験系の確立、②前房水のメタボローム解析、③角膜内皮細胞のTranscriptome解析の数を増やし角膜移植後の予後良好群と予後不良群での差異の検討、を行った。①では、これまで、角膜実質組織を層状に切開し角膜内皮を実験に使っていたが、2021年度はデスメ膜移植の技術を応用して、角膜内皮細胞を損傷することなくデスメ膜剥離をし、水疱性角膜症・正常の前房水で培養することができるようになり、免疫染色など組織イメージングが平面で可能になったため、より質の高く差が分かりやすい顕微鏡像が撮影できるようになった。さらにNMNなど薬剤添加で、角膜内皮細胞の損傷が軽減する結果が得られた。②では計77眼で正常および水疱性角膜症の前房水のメタボローム解析を行い、約140の前房水中の代謝物の定量を行った。これにより水疱性角膜症では、様々な代謝物の変化していることが分かったが、前房水を提供してくれた角膜移植患者の術後の角膜内皮細胞の減少を比較することで、角膜内皮細胞の減少する症例で前房水中のグルタチオンやタウリンなどが有意に減少していることがわかってきた。③で、グルタチオン還元酵素などが有意に低下することやSirtuin、NAMPTの発現が低下するなど、mRNAでも②のメタボローム解析と矛盾しない結果があることが証明された。②-③のように臨床検体の多層オミクス解析を進め、①でのEx vivoの実験系で生体現象を反映する結果が得られている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験系の確立、臨床検体のメタボローム解析、多層オミクス解析のデータ解析の推進、薬剤効果検証を行い、仮説に近い結果が得られている。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度はEx vivoの実験系で角膜内皮細胞が減少した機序の解析を進める。具体的には、細胞死に関わる遺伝子発現(Caspaseなど)、ミトコンドリア関連(SLC4A11やATP)、細胞老化マーカー(p16やp27)などが水疱性角膜症の前房水に暴露されると、どのように変化するか、PCRやTranscriptome解析で検証する。また、角膜内皮細胞が培養した前房水へ分泌するmiRNAを解析していく予定である。さらに、水疱性角膜症の前房水にグルタチオン、NMNやSirolimusを添加し細胞死が減らせるか、虹彩萎縮に伴い角膜内皮細胞が障害されるDBA2JマウスにNMNなどを投与しin vivoで治療効果があるかを検証し、今後の臨床での治療薬開発につながる成果としていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
2021年度はメタボローム解析やトランスクリプトーム解析のデータ解析にとられる時間の比重が多く、実験で使用す予算の使用が滞った。2022年度は、角膜組織、動物での実験に加えNMN経口、Sirolimus投与などの薬剤費、消耗品、論文掲載料などが必要になる見込みである。
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Research Products
(3 results)