2020 Fiscal Year Research-status Report
A novel strategy for dentin regeneration by transcriptional regulation of Runx2
Project/Area Number |
20K21673
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山城 隆 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (70294428)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒坂 寛 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (20509369)
犬伏 俊博 大阪大学, 歯学研究科, 講師 (30550941)
杉山 弘 京都大学, 理学研究科, 教授 (50183843)
村田 有香 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (90755068)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | PIポリアミド / 象牙芽細胞 / Dspp |
Outline of Annual Research Achievements |
歯髄は幹細胞の宝庫であるにもかかわらず、象牙質再生への試みは実用化に至っていない。これまでの研究では、歯髄から修復象牙質ではなく骨様の修復石灰化物が生じやすいことが課題であった。本来、骨形成のマスター遺伝子であるRunx2は歯髄および象牙芽細胞ではほとんど発現が認められず、Runx2は象牙芽細胞への分化や象牙質形成に抑制的に働くことが示されている。一方、歯髄に刺激が加わると、Runx2の発現が亢進する。そのため、これまでの実験系において、象牙質の再生を試みた際、歯髄への刺激によってRunx2の発現が亢進し、それによって骨様修復物が生成されたと考えるに至った。そこで、今回、Runx2の転写を抑制するために新規遺伝子抑制法であるPIポリアミドに着目した。PIポリアミドはDNAの特定塩基配列を認識し遺伝子発現を抑制するペプチド化合物で、特別なドラッグデリバリーシステムを要さず細胞内に取り込まれ,核内で安定する。本研究では、我々がこれまでに見出したWntシグナルの活性化に加え、PIポリアミドでRunx2の転写の働きを抑えることで、象牙質の再生の新たな手法を提案する。本年度は、PIポリアミドがヒト象牙芽細胞株の分化に果たす役割について、in vitroで検討を行った。その結果、Runx 遺伝子の標的遺伝子の転写を抑制するよう設計したChb-M`を作用させると、Chb-S`(コントロール)と比較して石灰化基質の酸性が増加することと、Dsppの発現が増加することを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、“歯髄で亢進するRunx2の働きをPIポリアミドで抑制する。”という新たな発想で、骨様の修復物ではなく、真の象牙質形成を促す手法を確立することを目的としている。Runx 遺伝子の標的遺伝子の転写を抑制するよう設計したChb-M`とChb-S`(コントロール)を作用させ、Runx遺伝子の転写を抑制することで、Dsppの発現が減少し、さらに石灰化の形成が促進することを確認した。しかしながら、当初予定していたRunx1, Runx2,Runx3、RNA Pol II らのChIP-Seq によって、Runx遺伝子ノックダウの動態の確認はできておらず。来年度に実施の予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
今回、歯髄細胞を用いた象牙芽細胞分化において、Runx 遺伝子の標的遺伝子の転写を抑制するよう設計したChb-M`とChb-S`(コントロール)を作用させたところ、当初の予測通り、象牙芽細胞の分化を促進した。in vitroの実験系の作成についてはほぼ目途が立ったものの、in vivoの実験系においてはChb-M`の効果はまだ確認がなされていない。現在、象牙芽細胞を積層に培養するin vitroの実験系の構築を試みており、これによってin vivoに近い実験状況で、PIポリアミドの作用を確認する予定である。PIポリアミドを用いた象牙芽細胞分化モデルが確立されれば、象牙芽細胞の分化機構の解明が飛躍的に進むことが期待される。今後、PIポリアミドをin vivoで作用させるためのドラッグデリバリーシステムを検討する予定である。
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