2020 Fiscal Year Research-status Report
Creation of neo-epigenetic periodontal therapy targeting DNA twist
Project/Area Number |
20K21674
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山下 元三 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (90524984)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹立 匡秀 大阪大学, 歯学部附属病院, 講師 (60452447)
柏木 陽一郎 大阪大学, 歯学研究科, 助教 (20598396)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
Keywords | DNAのねじれ / サイトカインストーム / スーパーエンハンサー / DNAトポイソメラーゼー / エピゲノム / 液相分離 / BRD4 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢性疾患の発症、進行において、エピゲノムの関与が明らかとなっている。しかしながら、DNAのメチル化、ヒストン修飾の一般的なエピゲノムの概念では、基礎疾患を有する高齢者にみられるサイトカインストームのような急性炎症につながる病態のゲノムレベルでの理解は困難である。 近年、DNA超らせんのねじれの解消や複数のエンハンサーのクラスターであるスーパーエンハンサーの形成と相分離による遺伝子転写の調節機構が明らかとなってきた。そこで本研究では、歯周組織細胞や免疫担当細胞のDNA超らせんの高次構造とスーパーエンハンサーの役割を明らかにすることで、 炎症性サイトカイン遺伝子の包括的な転写制御機構の解明し、高齢者の歯周組織と全身の急性炎症の病態をゲノムレベルで解析する。研究開始初年度の2020年は、炎症生サイトカインIL-6を高産生する、細胞老化の亢進した歯周組織構成細胞と免疫担当細胞のスクリーニングを実施した。そして、IL-1beta、LPSの共刺激に対する炎症生サイトカイン応答に及ぼす、DNA超らせん構造の維持に重要なDNAトポイソメラーゼ I特異的阻害剤と転写調節因子の阻害剤の及ぼす影響を検討した。そして、ゲノム解析の手法として、当初予定していた転写調節因子BRD4に対する抗体を用いたクロマチンIP-シークエンス法とクロマチンIPを必要としない、転写が活性化されたユークロマチン領域に対するATTACシークエンス法の比較、検討を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究開始初年度の2020年は、炎症生サイトカインIL-6産生能を指標に、細胞老化の亢進した歯周組織構成細胞と免疫担当細胞のスクリーニングを実施し、高い炎症サイトカイン応答を示す細胞株を樹立した。そして、IL-1beta、LPS刺激に対する炎症生サイトカイン応答に及ぼす、DNAのねじれと転写調節因子の役割をDNAトポイソメラーゼ I並びにBRD4、PTEFbの特異的阻害剤処理で検討した。そして、ゲノム解析の手法として、当初予定していたBRD4抗体を用いたクロマチンIP-シークエンス法とクロマチンIPを必要としないATTACシークエンス法のの解析手技の比較、検討を行った。2020年度は、COVID-19感染拡大防止の観点から、研究施設のある大阪大学において活動制限がなされた。その結果、当初の研究計画を修正して対応したが、一部の研究計画については遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年は、前年度に引き続き、高サイトカイン産生応答を示す歯周組織細胞に免疫担当細胞におけるDNAのねじれと転写調節因子の役割を、DNAトポイソメラーゼ I並びにBRD4、PTEFbの特異的阻害剤処理並びに、siRNAを用いて検討する。そして、ATTACシークエンス法でユークロマチン領域の炎症性サイトカイン領域を同定、BRD4抗体 を用いたクロマチンIP-RNAシークエンス法で転写調節因子の結合能を検証する。そして、スーパーエンハンサー領域における、液相分離の形成をポリマー阻害剤にて、化学的に阻害し、共焦点イメージングによるGFP-BRD4標識化クラスターの観察と炎症性 サイトカイン産生を検証する。また、高週齢マウスのin vivo 歯周病評価モデルを用いて、カンプトテンシンを前投与後に LPS腹腔投与で菌血症を誘導し、歯周病の病態形成 ならびに全身状態を評価する。
|
Causes of Carryover |
2020年度は、研究施設のある大阪大学においてCOVID-19感染拡大防止の観点から、「実験・研究の継続に必要最小限の研究関係者のみ立ち入り許可」の活動制限がなされた。その結果、当初の研究計画を修正して対応したが、一部の研究計画については遅れが生じた。よって、2021年度には、2020年度に購入・使用予定であった試薬ならびに抗体・プライマーをはじめとする実験試薬を必要物品として購入し、当初予定していた研究を実施、完了する予定である。また、参加、発表を予定していた学会が、COVID-19感染拡大防止の観点からオンライン開催となったため、旅費の支出が0となった。2021年度は現地開催の学会に参加し、情報収集並びに研究成果の報告を行うとともに、論文を作成、投稿する予定である。
|
Research Products
(2 results)