2020 Fiscal Year Research-status Report
立体構造情報に基づいた、結合置換法による次世代抗体医薬品の創薬デザイン開発
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20K21676
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
鵜澤 成一 大阪大学, 歯学研究科, 教授 (30345285)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 守 大阪大学, 蛋白質研究所, 准教授 (40280507)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 構造生物学 / 口腔 / がん |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質構造データバンク(PDB)に登録されている、グラム陽性細菌の線毛の構造より分子内イソペプチド結合形成環境の特徴の抽出を行った。分子内でイソペプチド結合を形成する際に、結合に必要な残基・触媒残基、そして結合形成に必要な周囲環境を形成する残基に共通の特徴が認められた。触媒残基としてはグルタミン酸および、アスパラギン酸といった酸性アミノ酸が認められる。また、結合に必要な残基はほぼ必ず、リシンおよびアスパラギンである。周囲環境は、前述のイソペプチド残基を形成する残基であるリジン及びアスパラギンの配向性を一意に規定する為にベンゼン環を含む疎水性アミノ酸残基であるチロシン・フェニルアラニンが取り囲むように配位する事で形成されている。さらに、同疎水性アミノ酸は触媒残基であるグルタミン酸やアスパラギン酸をCH-πスタッキングにて安定させているといった特徴を有している。上記の環境を、EGFR抗体(PDB ID:4GW5)内で設計が可能な場所の検討を行ったところ、ジスルフィド結合が形成されている部位で置換を行うと分子同士の接触が認められ、上記環境の構築は困難であった。そこで、ジスルフィド結合が形成されている周囲数残基前後にアミノ酸の位置を変化させた箇所にリシンおよびアスパラギンを配位させ、触媒残基であるグルタミン酸およびアスパラギンの側鎖が結合予定部位より2.8-3.2Åの距離に導入を行う事は構造学的に妥当な分子設計が可能である事がシュミレーションされた。抗体認識反応を変化させない為にも、出来る限り変異前の表面電荷を保存事も目的として変異を行う残基をタンパク質の内面に留めた分子設計を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルスの影響にて、共同研究先への通所が困難であったため
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Strategy for Future Research Activity |
シュミレーションにより得られた、変異体の作製モデルの発現が可能であるか大腸菌によるリコンビナントの作製および、コムギ無細胞合成系を用いて変異抗体を合成し、96ディープウェルプレート上でNi-NTA精製する。ELISA用プレート上に抗原タンパク質を固定化し、これらの精製済み抗体を一次抗体として添加する。二次抗体として、anti-Fab-HRP抗体を用い、抗原に結合した変異抗体を特定する。ジスルフィド結合からIso-peptide結合への変異が導入されたリコンビナントタンパク質を作製する事が出来、また、精製度がSDS-PAGEを用いて検証した場合にバンドが一つとなるようなものを作製する事が可能になれば得られた新規のリコンビナントタンパクの結晶化条件を決定し、十分な大きさの単結晶が得られる条件を決定する。その上でリコンビナントタンパクのX線結晶構造解析を行い、得られた新規分子の立体構造を変異前の構造情報を基に位相を決定し、精密化する事で明らかにする。
SAS-Gなどのがん細胞株に対して、Cetuximabと作製したリコンビナントにてin vitrvoにて細胞に対する効果の測定を行う。作製した新分子とCetuximabのモル濃度を調整し、同濃度にする。次に、ヒト由来のがん細胞であるSAS-GやLM8株を培養する。培養した細胞株が増殖出来なくなる濃度及び、アポトーシスが引き起こされる濃度を新分子とCetuximabにて比較し効果の差がない事を明らかにする。
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Causes of Carryover |
理由:新型コロナ感染症拡大のため、研究計画に若干の遅れが生じたため 使用計画:結晶化及びリコンビナント作成
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