2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of an extracellular messenger imaging method using silica nonwoven fabric and competitive FRET
Project/Area Number |
20K21686
|
Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
谷村 明彦 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (70217149)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
根津 顕弘 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (00305913)
森田 貴雄 日本歯科大学, 新潟生命歯学部, 教授 (20326549)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 蛍光センサー / イメージング / 蛍光タンパク質 / 蛍光リガンド / 抗原抗体反応 / シリカ不織布 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、競合FRET法を利用した細胞外メッセンジャーのイメージング技術の確立のために生理活性物質と蛍光リガンドの競合を蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)による蛍光変化で測定することを原理とする「競合的蛍光リガンドアッセイ(CFLA)」と、抗原抗体反応を利用する「競合的蛍光抗原アッセイ(CFAA)」を使ったセンサーの開発と、それらを使ったin vivoイメージング法の確立である。今年度は①COOH基を付加したシリカ製不織布(COOH-不織布)の表面をBiotin-PEG11-Amineを用いて高密度ビオチン化し、avidinあるいはstreptavidinを結合させた高容量シリカ不織布担体を開発した。この高容量シリカ不織布担体に蛍光ペプチドを結合させた②テストセンサーをマウスの皮下に埋入し、共焦点レーザー・エンドスコープを使って可視化できることを確認した。 この①実験に遅延があったため、蛍光ラベルしたアビジン・ビーズおよび蛍光ラベルした抗体を結合させたProtein Gビーズを使って、蛍光ラベルしたアビジンとビオチンの結合あるいは蛍光ラベルした抗BSA抗体とBSAの結合によるFRETシグナルの発生と競合物質によるFRETシグナルの低下から、③CFLA法およびCFAA法の基本原理を確認した。またこれらの方法を高容量シリカ不織布担体で実施するためのプロトコールを確立した。これらの原理を用いて実際のセンサーを作成するために、アンジオテンシンII受容体やEGF受容体と蛍光タンパク質(CFP)の融合タンパク質遺伝子や、それらの蛍光リガンドを作成した。さらに④Tetherd型センサーを開発するために、Protein G-SpyCatcher融合タンパク質遺伝子を作成し、このリコンビナント・タンパク質を大腸菌を使って発現させ、蛍光SpyTagペプチドの結合を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新素材として開発したCOOH基を付加したシリカ製不織布の表面をBiotin-PEG11-Amineを用いて高密度ビオチン化し、Chromis425Nで蛍光ラベルしたstreptavidinを結合させて蛍光アビジン不織布を作成した。これに蛍光ビオチンや蛍光ビオチン化ペプチドが結合することによるFRETを確認し、この高密度ビオチン化不織布がセンサー担体として利用できることが確認された。In vivoイメージングの試験として、この蛍光アビジン不織布をマウスの皮下に埋入し、共焦点レーザー・エンドスコープを使って可視化できることを確認した。この実験を2020年の9月頃までに行う予定であったが、材料の入手困難などの理由による2020年3月に遅延した。
2020年の6月の段階で高容量シリカ不織布担体開発の遅延が予測されたため計画を変更し、蛍光ビーズを使ってCFLAおよびCFAA法の応用に関する実験を実施した。CFLA法の実験として、蛍光ラベルしたアビジン・ビーズに蛍光ビオチンを結合させてた実験系を構築してFRETシグナルの解析を行った。同様にCFAA法の実験として、蛍光ラベルした抗BSA抗体を結合させたProtein Gビーズと蛍光BSAを使って、競合FRET法を抗原抗体反応に利用できることを明らかにした。またアンジオテンシンIIやEGFを測定するためのCFLAセンサーを開発する準備として、アンジオテンシンII受容体(AT1およびAT2)と蛍光タンパク質(CFP)の融合タンパク質遺伝子を作成と、蛍光ラベル(FITC)したアンジオテンシンIIの合成を行った。同様にEGF受容体と蛍光タンパク質(CFPおよびYFP)の融合タンパク質遺伝子と、蛍光ラベルしたリコンビナントEGFを作成した。さらにTetherd型センサーを開発するために、Protein G-SpyCatcher融合タンパク質遺伝子を作成し、大腸菌を使ってリコンビナント・タンパク質を発現させ、蛍光SpyTagペプチドの結合を確認した。
|
Strategy for Future Research Activity |
高容量シリカ不織布担体を積極的に活用して、FRET型センサーおよび細胞外メッセンジャーのin vitroおよびin vivoイメージング法を開発する。まず既存の蛍光センサー(ATP, pH, 酸素、グルタミン酸などの測定用センサー)を高容量シリカ不織布担体に結合させて、蛍光顕微鏡、蛍光プレートリーダーを使った測定、担体上での細胞培養による局所的・経時的な細胞外メッセンジャー濃度のin vitroイメージング解析、センサー担体を埋入したマウスを用いたin vivoイメージング解析法を開発する。 CFLA法を使ったセンサーとして、アンジオテンシンIIとEGFに加えて、ブラジキニン測定用のセンサーを開発する。この実験ではアンジオテンシンII、EGF,ブラジキンの受容体の一部とSpyCatcherの融合タンパク質の遺伝子を作成する。これらを大腸菌あるいはExpi293細胞に発現させ、アビジンビーズを使った確認実験を行った後、高容量シリカ不織布担体を使ったセンサー開発を実施する。これに加えてアンジオテンシン変換酵素(ACE2)あるいは抗スパイクタンパク質抗体とスパイクタンパク質を使ったコロナウイルスセンサーの開発を試みる。 Tetherd型センサーを作成するために、Protein G-SpyCatcher融合タンパク質に蛍光ラベルした抗体と抗原ペプチドとSpyTagを連結させた蛍光合成ペプチドを結合させる。またシリカ結合ペプチドとリガンドペプチドを融合させた人工ペプチドを合成し、同じシリカ担体に受容体部とリガンド部を結合させたTetherd型センサーを作成する。これらを用いて、in vivoおよびin vitroイメージング解析を実施する。
|
Causes of Carryover |
新型コロナ感染症の感染拡大による緊急事態宣言等の影響による研究試薬の入手困難や移動制限等による研究の遅延が発生した。特に、日本バイリーン社からのCOOH-不織布の供給停止によって高容量シリカ不織布担体の開発が遅延したため、研究計画の見直しが必要になった。 そこで2020年度は蛍光ビーズを使った小スケール実験による基本原理の確認と確立を行い、大量のタンパク質を必要とする高容量シリカ不織布をセンサー担体として利用する研究を2021年度に実施する計画に変更した。この計画変更に伴って、実験に必要な予算を2021年度に繰り越した。
|
Research Products
(1 results)