2022 Fiscal Year Annual Research Report
自律神経機能評価を用いた放射線療法関連倦怠感の解明
Project/Area Number |
20K21710
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒尾 晴惠 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (50326302)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
青木 美和 大阪大学, 医学系研究科, 特任助教(常勤) (00737629) [Withdrawn]
小泉 雅彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90186594)
山本 瀬奈 大阪大学, 大学院医学系研究科, 講師 (60796522)
倉恒 弘彦 大阪大学, 大学院医学系研究科, 招へい教授 (50195533)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線療法 / 自律神経機能 / 乳がん患者 / 倦怠感 / 放射線治療 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自律神経機能評価を用いて放射線療法を受ける乳がん患者の放射線療法の倦怠感の測定方法を確立し、倦怠感の緩和に向けた看護支援を検討することを目的とした。国内の9施設の放射線治療外来に通院する乳がん患者を対象に、放射線療法開始前のベースライン(T0)、中間(T1)、終了後(T2)の3地点で主観的な倦怠感尺度(Cancer Fatigue Scale、以下CFS)、SF-8を含む質問紙調査および簡易健康機器を用いた自律神経機能測定を実施した。調査期間中に74名の患者に参加の同意を得られたが、データの欠損があるもの等を除外し、分析対象者は57名となった。分析の結果、対象者の主観的倦怠感であるCFS合計点および自律神経機能のバランスを示すlog LF/HF値は、放射線療法開始前のベースライン(T0)の値が最も高く、T1で低下するという同様の経過を示した。また、log HFは、CFS合計点およびlog LF/HFとは逆の経過を示した。Log LF/HFの低下および倦怠感の軽減は、log HFに反映される副交感神経活動の上昇によって生じる可能性があることを示した。本研究の結果より、簡易健康機器を用いた自律神経機能測定は、放射線療法関連倦怠感の評価に有用であると考えられた。身体侵襲もないことから、看護実践への導入が容易であると考えられる。倦怠感は可視化しにくいが、自律神経機能測定を用いることで、体調を可視化でき、患者自身も放射線治療期間中の体調変化の把握ができる。また、放射線療法開始時時から倦怠感および自律神経機能を評価することで、介入対象をスクリーニングすることが可能となり、重点的に看護介入を必要とする対象を把握できるという示唆を得た。
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