2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K21716
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
辻 麻由美 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(保健学科), 助教 (60771780)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
深堀 浩樹 慶應義塾大学, 看護医療学部(藤沢), 教授 (30381916)
松原 孝明 大東文化大学, 法学部, 教授 (10407645)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 介護事故 / 有害事象 / 高齢者施設 / 損害賠償 / 内容分析 / 判例 / 安全性 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者向け介護保険サービス利用の需要増加が見込まれるなかで、日本の介護現場の状況は介護労働力の高齢化及び人材不足など組織体制の問題もあり、介護事故の増加や想定外の重大事故、重症化による治療の必要性、介護事故による不運な死の発生が懸念され介護事故の予防や対応に関する研究が求められている。 本課題は、高齢者施設で起きている介護事故について、これまでの判例情報や事故報告書、現場の声をもとに医療と福祉の専門的視点だけでなく、法学を含む学際的な観点から介護事故の類型化を行っていくことを目的としている。 介護事故の類型化に向け、①高齢者施設で起こった介護事故に関する判例や、長崎県内の高齢者施設で起こった事故報告書の収集と解析、②高齢者施設で起こる介護事故の現状について、①の結果をふまえ、施設のリスク管理者へ、施設で起きた事故の内容や対応について調査・解析を行う。 大学内の倫理委員会での承認を受け、長崎県内の高齢者施設を対象に市区町村に提出が義務化されている介護保険事業所等で起きた事故報告書2325件を収集し現在分析を行っている。施設居住系と通所・訪問事業所の両者を含む網羅的なデータあり、介護事故に関わる情報と損害賠償との関係について統計解析をすすめており、論文投稿予定である。今後、事故報告書の中で記載されている事故後の結果についてのデータも内容分析を行い、事故にかかる原因等の事象を抽出していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
長崎県内の高齢者施設で起こった事故報告書のデータについて2325件と多くのデータを収集できた。施設居住系と通所・訪問事業所の両者を含む網羅的なデータであったことや、介護事故の分類系を行う上で構成成分になり得る損害賠償の貴重なデータがあったことから、当初の事故後の結果・対応の内容分析だけにとどまらない解析を追加して行っている。そのため、並行して解析する予定であった判例解析が遅れいている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、民事判例の全国調査についても並行してデータ収集と解析を実施するとともに、公表も広く行っていく予定である。
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Causes of Carryover |
【理由】コロナ渦により、研究分担者との会議にかかる旅費や学会参加にかかる旅費、また、調査調整に使用する予定であった県内の離島への旅費について、移動ができなかったことにより支出していない。 【次年度の使用計画】①消耗品費:国内外の知識整理のための関連文献や書籍購入、調査データを記憶する媒体や印刷用紙やトナー及び文房具の購入②旅費:Web会議では情報提供が難しい判例などの情報提供など必要な会議ににかかる旅費、調査調整・実施にかかる旅費、成果発表にかかる旅費③人件費:データ入力などの研究補助にかかる費用④その他:英文校閲費など論文投稿にかかる費用、成果発表にかかる学会年会費及び参加費
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