2021 Fiscal Year Research-status Report
ロングリード配列決定法による放射線被ばく刻印の同定
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20K21718
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
光武 範吏 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 教授 (50404215)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 啓司 長崎大学, 原爆後障害医療研究所, 准教授 (00196809)
荻 朋男 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80508317)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | HPRTクローン / 放射線 / ゲノム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、最新のゲノム解析技術、特にロングリード次世代ゲノム解析を用い、放射線ゲノム刻印の存在を明らかにし、放射線リスク研究に、集団ではなく個々の癌における放射線影響の有無を調べる手段を提供することである。そのため、長年様々な研究で使用されている放射線照射HPRT変異クローンを用いた。 前年度に確立した上記クローンについて、無処理、ガンマ線照射(1, 3, 6 Gy)クローンをそれぞれ5クローン、N-ethyl-N-nitrosourea(ENU, 1 mM, 1 hr)処理クローンを4クローンを対象に、Oxford Nanopore Technologies社のロングリードシークエンサーによるゲノム解析を行った。 R3年度は、放射線で引き起こされやすいとされる欠失について解析を行った。シークエンサーから得られたリードデータをminimap2を用いてヒトゲノムレファレンス配列GRCh38にマッピングし、snifflesを用いて構造変異のコールを行った。十数キロベースの欠失までは、リード内に直接的に観察することができた。各クローンのvcfファイルはSURVIVORを用いてまとめ、全クローンにおいて見られる変異を除外し、変異アレル頻度と変異をサポートするリード数が一定以上の変異を抽出してクローン間の比較解析を行った。放射線照射クローンでユニークに見られた変異は、メガベース以上の大きな欠失が線量依存的に増加していた。これは前年度に行ったPCRベースの解析とも一致していた。ただ、無処理クローン間でも相当程度の変異の違いがあり、ウシ胎児血清添加下の通常の培養環境では、それなりに変異が入ることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
全ゲノム解析に関しては順調に施行することができたが、通常の培養環境でも相当数の変異が入り、放射線に特徴的な配列等の付加情報の探索を行う必要性が考えられた。
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Strategy for Future Research Activity |
全ゲノム解析を継続し、多角的な面より詳細な解析を行っていく。
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Causes of Carryover |
初年度に、全ゲノム解析の開始が遅れてしまったため。次年度は引き続き次世代ゲノム解析、確認作業のための実験に充てる予定である。
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Research Products
(11 results)