2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of clot biopsy aiming at development of a simple method for early detection of COPD
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20K21738
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Research Institution | University of Occupational and Environmental Health, Japan |
Principal Investigator |
吉田 安宏 産業医科大学, 医学部, 准教授 (10309958)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | クロットバイオプシー / COPD / 血餅 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、血清調製時に沈殿として捨てられていた血餅(クロット)に着目し、それを有効利用することで、新たな生体情報を得ることを目標としている。初年度の段階で条件検討を終了し、クロットに十分な生体情報が含まれていることを確認した。それをもとに特許申請を行っていたが、今年度は更にタンパクのDNA結合能を評価するゲルシフト法(electrophoretic mobility shift assay、EMSA法)に、このクロット調製溶解液が有効であることを確認し、追加資料として提出することができた。試料は、肺炎症誘導に有用である抗がん剤を用い、マウスに気管内投与することで肺炎症誘導マウスを確立し、そのクロットを調製した。肺の炎症は、肺胞洗浄液中の炎症性サイトカインの産生をELISA法で測定することで確認し、有意にIL-6などのサイトカイン産生が亢進していた。この炎症誘導マウスからクロット溶解液を調製し、通常のウエスタンブロット法により炎症マーカーであるNF-κBの活性化をNF-κB構成分子であるp65のリン酸化により評価したところ、炎症誘導マウスでリン酸化の亢進を確認できた。 これは、特に転写因子がクロット溶解液中でもDNAに結合する能力を維持していることを意味し、クロット法の汎用性を更に支持する結果となった。また全身性にLPSを静脈注射するような方法で炎症を誘導するのではなく、局所での炎症誘導から血中循環細胞などへの影響を解析する際にも、このクロット法が有用であることを示唆するものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
特許申請時のデータに加え、追加データを付加できるなど、また、マウスの炎症モデルでもクロット法が有用であることが確認されており、順調に進んでいると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
クロットバイオプシーの方法は、種々のアッセイ法に有効であることが確認できてきたので、炎症モデルマウスのシステムをより詳細・複雑なモデルに置き換えて、クロット法の検証を続ける計画である。特にタバコなどに曝露された際におこる慢性閉塞性肺疾患(COPD)モデルを確立し、そこでの有用性を検証する計画である。既に、標準タバコ抽出物の調製を終了し、曝露に用いる準備が整っている。
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Causes of Carryover |
令和2年度に引き続き、コロナ禍の影響のため、年明けから年度末にかけての学会参加は軒並みキャンセルが続いた。令和4年度はこれらの成果発表も盛んに行う予定で、さらには詳細な検討を行い、あらたな標的タンパクの発見に挑む。
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