2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21745
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
河野 大輔 群馬大学, 生体調節研究所, 助教 (10382904)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 肥満 / DNAメチル化 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、世界的に肥満者が増加している。食事などの環境要因が、肥満増加の中心的な原因だと考えられている。一方で、環境要因により肥満が発症する分子機序は、いまだ十分には明らかになっていない。生体内の環境応答機構の一つにDNAメチル化修飾があり、環境要因に由来する肥満の分子機構になっている可能性がある。また、環境要因により後天的に変化しやすい神経経路にドーパミン経路がある。また、ドーパミンは、過食や嗜好性にも関わっていることが知られている。我々は、ドーパミン合成の律速酵素であるチロシン水酸化酵素(Th)の発現が、DNAメチル化修飾の影響を受けやすいことを以前に見出している。一方で、特定のゲノム領域のDNAメチル化修飾がThの発現に与える影響はいまだ不明である。そこで本研究では、ゲノム編集技術を応用したエピゲノム編集により、特定の領域のDNAメチル化修飾を人工的に操作し、Th遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化修飾がThの発現に与える影響を調べている。Th遺伝子プロモーター領域に対するガイドRNAの設計、T7EIアッセイによるガイドRNAの検証を行った。また、現在、培養細胞においてTh遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化修飾のエピゲノム編集と、その後のバイサルファイトシーケンスによるDNAメチル化レベルの検証を行っている。
今後、エピゲノム編集により、Th遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化修飾がどの程度変化し、さらに、その結果、ThのRNAおよびタンパクの発現レベルがどの程度変化するかを細胞レベルで検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
Th遺伝子のプロモーター領域のDNAメチル化修飾がThの発現に与える影響を調べるため、ゲノム編集技術を応用したエピゲノム編集を用いて、Th遺伝子プロモーター領域のDNAメチル化修飾レベルを人工的に操作することを計画している。Th遺伝子プロモーター領域に対するガイドRNAの設計を行った。さらに培養細胞を用いて、T7EIアッセイによるガイドRNAの検証を行った。また、エピゲノム編集後の細胞からゲノムDNAを抽出し、バイサルファイトシーケンスによるDNAメチル化レベルの検証も行っているところである。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、Th遺伝子プロモーター領域のエピゲノム編集により、DNAメチル化修飾レベルがどの程度変化し、さらに、その結果、ThのRNAおよびタンパクの発現がどの程度変化するかを細胞レベルで検討する予定である。Th発現の調節に重要なDNAメチル化領域の同定をし、さらには個体レベルでのエピゲノム編集の導入を目指す。
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Causes of Carryover |
初年度は、想定していたよりも少ない予算で研究を進めることができた。次年度以降は、費用のかかる実験も含まれているため、そちらの実験に使いたい。
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