2021 Fiscal Year Research-status Report
Mechanism and exercise conditions for mitochondrial memory of exercise experience
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20K21749
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
増田 和実 金沢大学, 人間科学系, 教授 (50323283)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
芝口 翼 金沢大学, GS教育系, 助教 (40785953)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 運動 / エピジェネティクス / 記憶 / 骨格筋 / ミトコンドリア |
Outline of Annual Research Achievements |
骨格筋には筋記憶と称される機能、すなわち、トレーニングの中断後もトレーニングを再開すれば容易に運動効果を取り戻すことができる機能があるするエピジェネティクス制御が存在すると示唆されている。筋代謝の要であるミトコンドリア(Mito)の適応にもこうした記憶性が備わっているのか否かは明らかになっていない。そこでR3年度では、Wistar系雄性ラットを対象として、R2年度に検証・構築したラダークライミングトレーニング(RT)と旧来から用いられているトレッドミル走トレーニング(ET)を用いて、運動様式による骨格筋の生理的応答の違いに着目しながら、トレーニングと脱トレーニング、再トレーニングでの筋核数、エピジェネティクス制御およびMitoDNA数の変化から検証した。トレーニング実験の結果、RT群では、最大挙上負荷の有意な上昇が認められた。また、ET群では再トレーニングでのみ足底筋の相対筋重量および筋線維横断面積の有意な増加が認められた。Mito関連タンパク質発現量はET群およびERT群において有意に上昇した。なお、RT群とET群ともに筋核数は再Trでのみ有意な増加が生じ、再Tr時のCOX-IVタンパク質発現量と筋核数との間に有意な相関関係が認められた(ET群:r = 0.92, p < 0.05)。ただし、RTとETに伴うグローバルなヒストン修飾タンパク質発現量の有意な変化は認められなかったことから、今後、遺伝子座を限定した条件での再分析を行い、それに付随する遺伝子発現量について解析を重ねる必要性が考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に検証と構築を図った実験動物用のレジスタンストレーニングモデル(ハシゴ登り運動)を使って、トレーニング実験を実施できた。トレーニング期間+脱トレーニング期間+再トレーニング期間とグルーピングの設定も多く、長期にわたったトレーニング実験だったが、被験動物のサンプル数を一定数確保しながら解析することができた。実験結果の傾向が曖昧な分析項目もあり、トレーニング実験の再考・再実施も視野に入れなければならないが、その点は次年度の計画で検証していく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度では、令和3年度での検証課題を追加分析しながら、RTやETに伴うMitoDNA数およびヒストン修飾のタンパク質量が再トレーニング時のMito生合成にどのように関与するかを推進する予定である。目的とする骨格筋適応が得られるトレーニングプロトコルを構築することや、MitoDNAのエピジェネティクス制御やChIPを用いたMito関連タンパク質の遺伝子・遺伝子座の修飾ヒストンの解析を行えるよう準備を進めている。また、できれば再度、トレーニング実験を行い、解析サンプル数の上積みとともに、トレーニング適応の事象(筋肥大やMito関連タンパク質発現量、Mito酸素消費量など)を再確認しようと考えている。
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Research Products
(1 results)