2020 Fiscal Year Research-status Report
Study on the Regulatory Mechanisms of the Function of Skeletal Muscle by Brown Adipose Tissue
Project/Area Number |
20K21755
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
後藤 剛 京都大学, 農学研究科, 准教授 (10550311)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
瀬尾 茂人 大阪大学, 情報科学研究科, 准教授 (30432462)
高橋 春弥 京都大学, 農学研究科, 助教 (30750369)
井上 和生 京都大学, 農学研究科, 教授 (80213148)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 褐色脂肪組織 / 骨格筋 / 運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
BATと骨格筋は協調的に熱産生を担っていると考えられ、実際に、骨格筋より分泌される複数の生理活性物質がBAT 機能調節作用を有する。一方で、BATによる骨格筋機能の制御機構に関する知見は少ない。本研究では独自に開発した新規BAT欠失マウス(BAT lessマウス)を用い、BATによる骨格筋機能の生理的制御機構の解明を試みる。 2020年度はまずBAT lessマウスの性状解析を行った。BAT lessマウスでは肩甲骨間BAT量が激減していた。BAT lessマウスは寒冷条件下で体温維持が出来ず、BAT の熱産生機能亢進作用を有するβ3アドレナリン受容体作動薬投与時の深部体温上昇も全く認められなかった。以上より、BAT lessマウスでは生理的なBAT機能をほぼ欠失していることが確認された。 次にBATの欠損が骨格筋機能に与える影響について検討を開始した。骨格筋は生体最大の糖処理器官であり、糖質代謝調節において重要な役割を担っている。そこで、BAT lessマウスを用いて糖負荷試験、インスリン負荷試験を行い、耐糖能、インスリン感受性について評価した。しかしながら、BAT lessマウスの耐糖能、インスリン感受性ともに対照マウスと比して変化は認められなかった。以上より、通常飼育下ではBATの欠損は糖質代謝に大きな影響を与えないことが示唆された。さらに、BAT lessマウスと対照マウスの骨格筋遺伝子発現プロファイルを比較するためマイクロアレイを行い、現在解析中である。 また、BATによる液性因子を介した骨格筋機能制御の可能性についても培養細胞を用いて検討を開始した。褐色脂肪細胞と骨格筋細胞を共培養した際の変化について、特に骨格筋機能を中心に解析を行っている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
BAT lessマウスの性状解析を通じて、本マウスが生理的なBAT機能を欠失したモデルとして活用可能であることを明らかにするとともに、本マウスを用いた骨格筋機能の解析に着手したため。 培養細胞系を用いて、褐色脂肪細胞と骨格筋細胞の相互作用解析に着手したため。
|
Strategy for Future Research Activity |
2020年度の検討において、通常飼育下ではBATの欠損は糖質代謝に大きな影響を与えないことが示唆された。骨格筋の主要な機能として運動機能が挙げられることから、BAT lessマウスを用いて運動負荷を行った際の表現型の差異について検討を行うことで、BATの欠損が運動機能に与える影響について明らかにする。 また、2020年度に実施したBAT lessマウス・対照マウスの骨格筋のマイクロアレイ解析を継続することで、BATの欠損が骨格筋機能に与える影響について遺伝子レベルで明らかにする。 さらに、培養細胞を用いて褐色脂肪細胞と骨格筋細胞の相互作用解析を継続し、BATによる骨格筋機能制御機構を担う鍵分子の同定を行う。
|
Causes of Carryover |
研究計画は順調に進捗しているものの、一部の消耗品の納品等が新型コロナウイルスの影響等で遅延したため。今年度にこれらを入手し速やかに研究を遂行する。
|
Research Products
(4 results)