2021 Fiscal Year Research-status Report
ドーパミンシステム系遺伝子多型に基づく運動習慣のオーダーメイド支援の可能性
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20K21758
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原田 和弘 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (50707875)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
村上 晴香 立命館大学, スポーツ健康科学部, 教授 (20344880)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 運動習慣 / 行動変容 / 動機づけ / 感情 / 遺伝子多型 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、快感情や意欲に関する遺伝特性である、ドーパミンシステム系遺伝子多型によって、感情モチベーションが運動の習慣化に及ぼす影響力の強さが異なるかを明らかにすることを目的とする。この目的を達成するため、本研究では、縦断調査(研究1)と介入(研究2)を行う。研究代表者は研究1および研究2の計画・実行を主に担当し、研究分担者はこれらで収集した遺伝子の解析を主に担当する。データ分析と論文執筆は、共同して行う。 当初の研究計画に従い、2021年度の主要な実施事項は、ア)縦断調査(研究1)の事前調査で収集した検体から遺伝子解析を進めること、イ)縦断調査(研究1)の1年後調査を実施すること、および、ウ)介入(研究2)の計画を具体的にすることの3点とした。その他の実施事項として、予備データおよび縦断調査(研究1)の事前調査データの分析を進めた。 ア)の遺伝子解析について、縦断調査(研究1)の事前調査で収集した検体(唾液)からDNAを抽出し、ドーパミンシステム系の候補遺伝子多型として、ANKK1/DRD2 (rs1800497)、DRD2(rs1076560)、COMT(rs4680)、およびDBH(rs2519152、rs1611115)を解析した。 イ)の縦断調査の1年後調査について、前年度に行った事前調査と同様に、Web上での質問紙回答を依頼する形で行った。質問紙は、運動の実施状況、運動に対する感情モチベーション、健康モチベーション、対人モチベーション、基本属性などに関する項目で設計した。事前調査の回答者448名のうち、393名から1年後調査の回答が得られた。 ウ)の介入の計画について、新型コロナウイルス感染症の流行状況に応じて、当初通りの対面型か、または郵送型で行うかの検討を重ねた。現在でも同感染症の流行状況が見通せないため、対面型での介入は見合わせ、郵送型で行うこととした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」で記載した通り、2021年度の主要な実施事項である、ア)縦断調査(研究1)の事前調査で収集した検体から遺伝子解析を進めること、イ)縦断調査(研究1)の1年後調査を実施すること、および、ウ)介入(研究2)の計画を具体的にすることの3点が、おおむね順調に進捗したため。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度の主要な実施事項は、ア)引き続き、縦断調査(研究1)の事前調査で収集した検体から遺伝子解析を進めること、イ)縦断調査(研究1)の2年後調査を実施すること、および、ウ)介入(研究2)を実際に行うことの3点とする。これら3点と並行して、これまで収集したデータの解析・論文投稿も引き続き進める。 ア)の遺伝子解析の実施について、ドーパミンシステム系遺伝子の繰り返し配列多型 (VNTR)の解析も進める。 イ)の縦断調査の2年後調査について、事前および1年後調査と同等の内容の質問紙回答を依頼する形で行い、運動の実施状況の長期的変化に対するモチベーションとドーパミンシステム系遺伝子多型の関与を検証する。 ウ)の介入について、2021年秋に約8週間程度、教材郵送を通じた運動介入を行う予定で進める。神戸市内で新聞折込チラシ等による募集を行い、運動介入の参加者を募る。運動介入の内容は、応募者これまでの郵送型の運動介入の実績の実績に基づき、運動と健康に関する情報や、運動の目標設定・記録・自己評価を促す情報などを中心に内容を構成する。加えて、運動による感情変化の確認など、感情モチベーションを喚起する内容も盛り込む。介入前後に、運動の実施状況、運動に対する感情モチベーション、健康モチベーション、対人モチベーション、基本属性などに関する項目を質問するとともに、検体(唾液)を採取する。介入効果に対するモチベーションとドーパミンシステム系遺伝子多型の関与を検証する。
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Causes of Carryover |
2020年度と同様に、縦断調査(研究1)の手法を、地域ベースからWebベースに切り替えたことに伴い、調査実施にかかる費用が削減された。その分の費用を、介入(研究2)の規模拡大に充てる。
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