2020 Fiscal Year Research-status Report
新規脳因子の作用から探る肥満パラドックス形成と運動欲求の解明
Project/Area Number |
20K21760
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浮穴 和義 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (10304370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩越 栄子 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 研究員 (50311296)
福村 圭介 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 助教 (10880049)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 新規脳因子 / 肥満パラドックス / 運動欲求性 / 白色脂肪組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、最近、新しい視床下部分泌性小タンパク質(Neurosecretory Protein GL:NPGL)を発見しており、本小タンパク質の機能の一つとして、哺乳類のラットやマウスにおいて、過食や肥満を引き起こすことを見出した。普通食摂餌下では、NPGLは白色脂肪組織特異的に脂肪を蓄積し、一方で肝臓や筋肉での異所性脂肪蓄積は生じさせないことを見出した。このとき、血糖値や血中脂質の上昇も伴わないことから、良質の脂肪が蓄積した状態、つまり、肥満パラドックスの状態であると言える。本研究の目的は、NPGLの生理作用を解明することで、肥満状態であっても健康状態を維持する肥満パラドックスの形成機構を解明することである。本年度の解析では、高脂肪食を給餌することにより中等度以上の肥満マウスを作製し、NPGLによる運動欲求性と筋肉量増強作用を検討した。運動欲求性は、回転数をモニタリングできる回転ホイールを入れ、自発運動量を測定した。NPGLは脳室内慢性投与を行い、投与後2週間の自発運動量、摂食量、体重を測定した。その結果、コントロール群では回転ホイールによる自発運動のため、体重減少が認められたが、NPGL投与群では摂食量の亢進と体重増加が見られた。一方、自発運動量の変化は見られなかった。NPGL慢性投与2週間後の筋肉量を測定したところ、腓腹筋の重量が有意に増加していた。以上の研究から、肥満状態のマウスにNPGLを投与すると、肥満状態を維持するが、運動量は減少しないことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルスの影響により、研究室内での活動制限が行われたものの、当初の研究計画を無事に遂行することができ、データが多く得られたため。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度の解析から、NPGLは肥満状態でも自発運動量を抑制しない状態を保つことが示唆された。また、体重増加に加え腓腹筋重量の増加も認められた。今後、腓腹筋重量の増加が筋肉内の脂肪蓄積か筋線維の増加のどちらにより生じたものかを詳細に解析する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により、研究室内での研究活動の制限が生じ、研究時間は当初の計画よりも短くなった。そのため、使用する消耗品費が少なくなったため、次年度使用額が生じた。次年度は多くの実験を進めるため、そのための消耗品費として使用する。
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Research Products
(7 results)