2022 Fiscal Year Research-status Report
新規脳因子の作用から探る肥満パラドックス形成と運動欲求の解明
Project/Area Number |
20K21760
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
浮穴 和義 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 教授 (10304370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岩越 栄子 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 特任准教授 (50311296)
福村 圭介 広島大学, 統合生命科学研究科(総), 助教 (10880049) [Withdrawn]
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 新規脳因子 / 肥満パラドックス / 標的組織 / 受容体 |
Outline of Annual Research Achievements |
我々は、最近、新しい視床下部分泌性小タンパク質(Neurosecretory Protein GL:NPGL)を発見しており、哺乳類のラットやマウスにおいて、本小タンパク質は、過食や肥満を引き起こすことを見出した。普通食摂餌下では、NPGLは白色脂肪組織特異的に脂肪を蓄積し、一方で肝臓や筋肉での異所性脂肪蓄積は生じさせないことを見出した。このとき、血糖値や血中脂質の上昇も伴わないことから、良質の脂肪が蓄積した状態、つまり、肥満パラドックスの状態であると言える。本研究の目的は、肥満状態であっても健康状態を維持する肥満パラドックスの形成機構にNPGLが関与している可能性を明らかにすることである。昨年度までの解析から、肥満状態でも自発運動能力を維持していることを見出している。さらに、これまでの解析から、白色脂肪組織に加え、褐色脂肪組織、肝臓、筋肉への新たな作用が認められている。昨年度に入り、NPGLの受容体候補タンパク質と思われる情報を入手したため、培養細胞に本候補タンパク質を発現させ、カルシウムイメージングによる影響を解析することとした。その結果、反応性は弱いながらもNPGL濃度依存的にカルシウム応答が生じることを見出した。cAMPへの影響は見られないことも分かった。これらの結果から、本候補タンパク質のノックアウトマウスにおいて、NPGL投与により表現型が認められなければ、本候補タンパク質が真の受容体であることを証明できると考えた。そのため、ゲノム編集技術を用いたノックアウトマウスの作製に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究遂行により、肥満パラドックスの原因解明のためには受容体の同定が必要不可欠であるとの結論に至った。ゲノム編集技術を用いたノックアウトマウス作製には時間を有するため、研究計画を1年延長し、研究を継続することとした。そのため、全体的に見れば遅れているが、研究の完成度は増すと考えており、地道に研究を行っていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
上述の通り、当初、計画していなかった受容体同定を行い、肥満パラドックスの解明に役立てたいと考えている。そのため、現在、ゲノム編集技術を用いたノックアウトマウスを作製中であり、次年度の早々には本マウスを用いて解析を行う段取りにしている。
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Causes of Carryover |
ノックアウトマウスの作製に取り掛かり、研究計画を1年延長することとした。最終年度には多くの研究費が必要であることが予想されたため、次年度繰越を意図的に行った。これにより、最終年度の消耗品費を確保した。
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Research Products
(1 results)