2020 Fiscal Year Research-status Report
全身性老化予防の新しい臓器:骨細胞の栄養ネットワーク解明
Project/Area Number |
20K21767
|
Research Institution | The University of Shiga Prefecture |
Principal Investigator |
辰巳 佐和子 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (80420545)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 頌治 滋賀県立大学, 人間文化学部, 講師 (70645209)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
|
Keywords | 骨細胞 / 栄養 / ミネラル |
Outline of Annual Research Achievements |
骨細胞は加齢に伴い減少する細胞である。骨細胞はネットワークを形成し、栄養素の受け渡しや情報伝達を行うと考えられているが、実態は明らかではない。「骨細胞が栄養センサーの役割を担い、その破綻は全身性の栄養代謝障害を介して老化を促進する」という新しい概念提示し、これらを証明を目指す。 2020年度は1. 骨細胞ネットワーク破断マウス作成・栄養代謝異常解析した。A) 骨細胞ネットワーク破断マウスとして、TRECK法による骨細胞欠損マウスとG-CSF投与による骨細管萎縮マウスを作成し解析サンプルを収集した。B) 栄養代謝異常解析として、カルシウム・リンの解析を行った。脂質/胆汁酸代謝を中心とした血液尿生化学検査, 胆汁酸組成解析を実施した。カルシウム・リン解析では老化加速に関与すると想定される、CPPについての解析を行ったところ、異常なCPP産生量の上昇が認められた。CPPは腎臓や血管などに慢性炎症を起こす可能性が考えられていることから、老化を加速させている可能性が示唆された。また胆汁酸の素性分析を行ったところ、二次胆汁酸の分布が、骨細胞ネットワークが破断されることで変動することが明らかとなった。よって脂質吸収に影響がでることが示唆された。2. 骨細胞ネットワーク破断による老化表現型の解析を実施した。 腎機能低下, 筋萎縮, 体脂肪低下, 異所性石灰化, 心肥大, 寿命, 腸内細菌叢の変動が認められた。3.骨細胞ネットワークの栄養センサー機能解析にリン負荷、リン制限を行ったところ、骨細胞ネットワーク破断マウスではリン負荷による尿中リン排泄が促進しなかった。さらに、リン制限による尿中リン排泄抑制も生じないことが明らかになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響を受け、大学の規定により学生および大学院生の協力が予定通りに得ることができなかったため。 新型コロナ感染症の影響をより、研究機器が受注発注となり、想定外に購入が遅れることとなった。そのため、研究の効率が低下したことも挙げられる。
|
Strategy for Future Research Activity |
1年間の新型コロナ感染症との付き合いの中で、研究活動をどのように効率化していくかの方策を知った。 そのため、研究活動を加速させるこことができると考えられる。 他大学の研究協力者とのディスカッションを積極的に行い、研究を推進させる。 脳を介した栄養センサー研究に熟知した研究者にアドバイスを受けることになっているので、研究をさらに推進させる。
|
Causes of Carryover |
理由としては2点ある。1)新型コロナ感染症の影響を受け購入予定機器の在庫がなくなり、想定外の受注発注となったため、購入予定の機器の物品費用を次年度に使用することとなった。 2021年6月までには機器を確保できる予定である。 2)新型コロナ感染症の中、研究協力者である学生、大学院生の研究活動が低下したため。 動物実験は概ね順調に進んだが、今年度は解析が遅れた。次年度は解析予定であった部分を翌年度に請求し研究を加速させることとする。
|