2022 Fiscal Year Annual Research Report
Hibernation-induced bioactive molecules that contribute resistance to skeletal muscle atrophy
Project/Area Number |
20K21769
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮崎 充功 広島大学, 医系科学研究科(保), 准教授 (20632467)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坪田 敏男 北海道大学, 獣医学研究院, 教授 (10207441)
下鶴 倫人 北海道大学, 獣医学研究院, 准教授 (50507168)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 骨格筋 / 冬眠 / タンパク質代謝 / mTOR / FOXO |
Outline of Annual Research Achievements |
ヒト骨格筋の場合、ベッドレストなどの不活動状態に陥ると筋タンパク質量・発揮筋力は1日あたり0.5-1.0%程度の割合で減少し、サルコペニアの進行が加速される。しかし冬眠動物には、筋肉の大きさや発揮される筋力が冬眠前後で全く変化しない(リスの場合)、または一定程度は減少するがヒトに比較して非常に軽微である(クマの場合、Miyazaki et al., PLOS ONE 2019)という、骨格筋の萎縮耐性ともいえる未解明の生理機能が存在する。一方で、たとえ冬眠動物であっても、夏季に筋活動量が制限されると筋肉量は大きく減少することも報告されている。つまり冬眠動物における筋肉量維持機構は、リスやクマなど特定の生物種のみが有する生命機能ではなく、冬眠に伴って誘導される何らかの生理学的応答の結果もたらされる適応システムだと考えられている。
我々はこれまで、冬眠動物であるツキノワグマを対象とした検討の結果、冬眠中のクマにおける骨格筋の廃用性変化は、ヒトを含むその他の動物種に比較して極めて限定的であることを報告してきた(Miyazaki et al., PLOS ONE 2019)。この結果は、クマの冬眠中に誘導される何らかの生理学的適応によって、骨格筋を中心とした「廃用症候群に対する耐性」が獲得されるという研究仮説を示唆するものである。そこでさらに、実験的に採取したツキノワグマ血清をヒト骨格筋培養細胞に添加するというin vitroの解析系を用いた検討を行ったところ、冬眠期クマ血清の添加により、骨格筋細胞における総タンパク質量が増加することを確認した。また冬眠期クマ血清の添加は、タンパク質合成系の制御系であるAkt/mTOR系の制御に関与する可能性があること、またタンパク質分解系因子の一つであるMuRF1の発現量を転写因子FOXO3aの制御系を介して調節することなどを明らかにした。
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Remarks |
広島大学プレスリリース
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Research Products
(12 results)