2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of an artificial intelligence system to identify treatment strategies in long-term care services
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20K21775
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
長谷 公隆 関西医科大学, 医学部, 教授 (80198704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 周 関西医科大学, 医学部, 助教 (40786191)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢者 / 動作分析 / 人工知能 / 介護保険診療 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢者が抱える機能的問題の原因を抽出する人工知能の開発を目指して、歩行ならびに起居動作の3次元動作分析データを収集した。枚方市シルバー人材センターの協力を得て健常高齢者72名(男性50名、女性27名/平均年齢72.0歳)を登録し、マハラノビスの基本空間を形成するために必要な各指標の計測を、疲労を考慮して各被験者について2日間に分けて実施した。 被験者特性には、Charlson Comorbidity Index、ハンドヘルドダイナモメーターによる下肢筋力、Community Balance and Mobility Scale(以下、CBMS)、日本版Montreal Cognitive Assessment、Frenchay Activities Index、Mini Nutritional Assessmentを含めた。動作分析には、本学設備の3次元分析装置に加えて、起居動作のPhaseおよびそのパフォーマンスを同定するために、椅子上の圧分布を計測するシート式座面圧分布センサ(Novel社・pliance 392/E system)を導入した。3次元動作分析は、快適歩行に加えて、立ち上がり・着座・座位での拾い上げ、立位での拾い上げ、段差昇降動作及びTimed Up and Go課題とした。3次元動作分析データのマーカー付けを進めており、40-50歳台の健常者データを追加してデータベース基盤を形成する。 これらと同じ項目について、デイケアセンター枚方に通所している要支援・要介護者17名(男性7名、女性10名/平均年齢75.9歳)のデータ収集を行った。通所リハビリテーションによって、地域生活で求められるバランス能力指標として標準化されているCBMSの改善度を規定する臨床的指標を、マハラノビス基本空間とMCMC法を用いて同定し、治療効果予測に有用な特徴量を抽出する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高齢者のワクチン接種完了後に枚方市シルバー人材センターの協力を得てデータ計測を開始した。検査内容の説明や着替え等の準備を含めて全データの計測に4時間程度を要するため、疲労を考慮して各被験者には2度来院していただくこととしたが、脳卒中既往者も含めて約100名のデータ計測を完了できた。階段昇降については全てのマーカー付け処理を終了し、データ分析を進めているが、これまでに詳細な報告がない降段動作では健常高齢者間においても動作様式の違いを検出でき、新たな知見が得られている。高齢者データの収集がほぼ完了できたため、当初の最終年度における目標であった要支援・要介護者の治療効果に関連する特徴量抽出の段階にまで研究を進めることができた。 快適歩行に加えて、立ち上がり・着座・座位での拾い上げ、立位での拾い上げ、段差昇降動作及びTimed Up and Go課題での3次元動作分析を実施したため、データが極めて膨大であり、マーカー付け処理を加速する必要があるが、これを完了できれば、デイケアセンターでの通常業務の中でデータ収集が可能であり、研究計画通りの進捗状況となる。
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Strategy for Future Research Activity |
マハラノビスの基本空間を形成する3次元動作分析データの収集は、若年者分について20名程度計測する。デイケアセンター利用者のデータ収集を含めて、理学療法士を専属で雇用し、計測にあたる。これらで得られたデータを含め、計測した各課題での3次元動作分析データのマーカー付けに要する仕事量が膨大であることから、本学リハビリテーション学部から複数名の研究協力者を募り、データ処理過程を加速することで対応する。各課題の特徴量抽出等に関する分析は、当講座の大学院生が分担し、それらを統制しながら学術基盤の形成を目指す。
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Causes of Carryover |
高齢者へのワクチン接種が完了した後に、新型コロナ感染症の感染状況を鑑みながら、被験者の応募状況に応じて3次元動作解析を実施した。その結果として5万円弱を次年度に持ち越して、残りの健常者データ収集における交通費・謝金に使用する。研究分担者の助成金は、デイケアでの要支援・要介護者におけるデータ収集並びに成果発表の際にまとめて使用する。
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