2021 Fiscal Year Research-status Report
無限次元最適化とその近似による新しい計算科学の探究
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20K21786
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松尾 宇泰 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 教授 (90293670)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 数値解析 / 最適化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本計画研究は,不確かなモデルのからむ計算科学的研究において,従前は有限次元空間におけるモデル推定(データ同化)を考えていたところ,むしろ無限次元空間におけるモデル推定(すなわち無限次元空間における最適化に基づくモデル同定)だと考えることで,より柔軟で素直な計算科学体系が表出する可能性を探究するものである. 今年度は,まず,前年度の基礎的研究で明らかになった,無限次元データ同化における最適化問題が著しく多数の局所最適解を持ち最適化が困難であるという問題に対して,機械学習等の分野で同様に局所最適解を多く持つ問題に対して導入されている回避技法についてサーベイを行い,計画最終年度でそれらを適用していくための素地を作った. また,同じく前年度より進めていた最適化手法と数値解析学の関係についての調査・検討を行い,特に最適化手法におけるステップ幅と数値解析学における線形安定性解析の関係について統一的な理解を得た.この理解に基づき,例えばL平滑な凸関数に対する最急降下法の収束十分条件が,数値解析学における陽的Euler法の安定性条件から簡単に導けることを指摘し,さらにこの視点から,数値解析学的に自然に期待される,硬安定な数値解法がより効率的な最適化手法を導きうることを実際の数値実験を含めて実証した.L平滑の定数が大域的に非常に大きな目的関数に対しては,この種の数値解析学的に自然な算法の方が遙かに効率が良いことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
無限次元データ同化が扱いづらい目的関数を導いてしまうという困難には直面しているが,それに対する対抗策の検討も進んでいる.また,最適化手法と数値解析学の関係についての理解も深まっており,全体としては本課題で目指す挑戦は十分に行えていると考えられる.
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は計画最終年度であるため,「現時点において,無限次元最適化は計算科学にとって有用なのか」という本課題の中心的問いに対して,何らかの示唆を獲得したい. そのために,初年度でやや躓いた無限次元最適化の試みについて,より現実的な物理モデルなどでさらなる実験を行い知見を重ね,その際,機械学習分野で知られる技法がどこまで有効化も試していく. また近年は最適化分野でも,無限次元問題をうまく有限次元に緩和して解く手法が新たに考えられているようで,それらについてもサーベイし,本研究課題のスコープに加える. 以上を総合して,ひとまず3年間の研究計画の区切りとして,2022年度時点で冒頭の問いの答が肯定的なのかどうか,結論を与える.
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Causes of Carryover |
引き続きコロナ禍が継続しており,海外研究者との対面での研究交流・調査等ができない状況が続いている.その分はいまのところリモートでの連絡を活発化しカバーしているが,世界的にコロナに対する対応が少しずつ変化しつつある最終年度に国際交流を活発化させ研究を進める.
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Research Products
(3 results)