2020 Fiscal Year Research-status Report
線形計画法と深層学習による人工衛星データの復元と解析
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20K21792
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Research Institution | National Graduate Institute for Policy Studies |
Principal Investigator |
土谷 隆 政策研究大学院大学, 政策研究科, 教授 (00188575)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上野 玄太 大学共同利用機関法人情報・システム研究機構(機構本部施設等), データサイエンス共同利用基盤施設, 教授 (40370093)
田中 未来 統計数理研究所, 数理・推論研究系, 准教授 (40737053)
池上 敦子 成蹊大学, 理工学部, 教授 (90146936)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 人工衛星 / Geotail / 信号復元 / 深層学習 / 数理計画法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本問題は,人工衛星Geotailが,プラズマ粒子を観測して12秒に一度地球に送信してくるデータを復元するものである.Geotail は,1日24時間中,16時間は,衛星に入射するプラズマ粒子の個数を観測して,水平方向16方向,高さ方向7方向,エネルギーレベル32区分,計16×32×7=3584個のビンのある3次元ヒストグラムのデータとして地球に送信し,残り8時間は,高さ方向のみについては周辺化した,16×32=512個のビンの2次元ヒストグラムを送信してくる.16時間分の周辺化された2次元ヒストグラムデータについて,深層学習と数理計画法を組み合わせて,元来の3次元ヒストグラムを復元するのが研究の眼目である.さらに,観測者は解析のために,3次元ヒストグラムから224個のビンからなるヒストグラムを作成して,ETスペクトログラムという図を描く.3次元ヒストグラムとして送られてくる1日24時間の中の8時間分のデータを学習データとして使うことができる. 2020年度はまず,データを整理するプログラムを作成するとともに,可視化するためのソフトウェアを作成し,深層学習の準備段階として,3層のニューラルネット,Inception Network,Residual Networkを用いて3584個のヒストグラムを復元するように学習させて検証を行ったところ,結果として,71%程度の正答率であった.これは,既存の研究の正答率と同程度である.これは,512個のビンのヒストグラムから直接3584個のビンのヒストグラムを作成する点に困難があったためと考えられる.そこで,512個のビンの入力2次元ヒストグラムからETスペクトログラムを作成するための224個のビンのヒストグラムを作成するように学習させて,最終的に3584個のビンを持つ3次元ヒストグラムを数理計画法で推定することを考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2次元ヒストグラムから直接3次元ヒストグラムを深層学習で復元することにより,一定の精度での復元が達成できることが判明し,その結果に基づいて,2次元ヒストグラムから,図を描くための低次元ヒストグラムを直接学習して,最終的に3次元ヒストグラムを推定する方向で研究を進めるのが性能の向上に繋がりそうである,との見通しが得られた.
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Strategy for Future Research Activity |
入力の2次元(ビン数:512)のヒストグラムからETスペクトログラムを描くための低次元ヒストグラム(ビン数:224)を直接推定するニューラルネットを作成し,そこから線形計画法・整数計画法を用いて3584次元の3次元ヒストグラムを推定する.出力の次元が低い分,深層化することができる可能性が高いので,その方向で研究を進める.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により,研究補助として雇用しているアルバイトとの打ち合わせが困難となり,データ整理に遅れが生じている.また、研究分担者においても、当初想定していた、情報収集・助言を得るための出張や,データを整理するための研究補助者の雇用が困難となり,データ解析・資料整理用のサーバーマシン等の購入も見送ることとなった. 本年度も,昨年度に引き続き,データ解析・資料整理のための研究補助者の雇用,そのためのパソコンやサーバーマシンを用意するために研究費を使用する予定であるが,昨年度の未使用分を用いて追加的に,研究補助者の雇用,そして,ハードウェア機器の購入を行い,昨年不如意に遅れた部分を取り戻し,研究のスピードアップを図る予定である.
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