2020 Fiscal Year Research-status Report
Neural information processing of visual pleasantness, unpleasantness, and thrill
Project/Area Number |
20K21803
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本吉 勇 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60447034)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 視覚 / 不快感 / 画像統計量 |
Outline of Annual Research Achievements |
視覚刺激のもつ不快感について,人工刺激を用いた2つの心理物理学的研究を完了するとともに,自然画像を用いた新たな心理物理学的研究を進めた.(1) 種々の空間周波数,空間周波数バンド幅,および方位バンド幅をもつバンドパスノイズ刺激について,テクスチャ画像としての気持ち悪さ(unpleasantness)を人間の観察者に評価させ,そのデータを分析した.その結果,気持ち悪さの評価は,空間周波数バンド幅は広いほど大きくなるのに対して,方位バンド幅は狭いほど大きくなることを発見した.この結果は,自然画像の統計的規則性から逸脱した視覚刺激は一般的に不快感をもたらすという一般法則を支持した.成果は国際学術誌に原著論文として公刊された.(2) 種々の空間周波数,空間周波数バンド幅,方位バンド幅,時間周波数をもつ動的なバンドパスノイズ刺激を用い,その気持ち悪さ(unpleasantness)を人間の観察者に評価させた.複数の実験の結果,気持ち悪さの評価は,運動方向の不規則なばらつきが大きいほど大きくなることを発見した.この結果も,自然動画の統計的規則性からの逸脱により説明された.この成果も国際学術誌に原著論文として公刊され,また国際会議に採択された.(3) Motoyoshi & Miro(2016)で行った研究を大規模に展開し,多くの自然表面画像について,気持ち悪さと心地よさの評価データを集め,個々の画像のもつ統計量との相関を解析した.その結果,(1,2)の結果と一致して,特定の空間周波数における大きなパワー,方位スペクトルの平坦さ,方位サブバンド間の相関,などの統計量が気持ち悪さと強い関係にあることを見出した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあった人工刺激を用いた検討が進み,従来知られていなかった強い法則性と,その生態学的な説明を得て,2つの国際誌原著論文を公刊した.加えて,これらの結果と矛盾しない結果が,自然画像刺激を用いた検討でも得られ,視覚的不快感をもたらす刺激条件とその説明に関して,着実な進捗があった.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,視覚的不快感をもたらす他の視覚特徴条件を明らかにしていくとともに,当初の計画に含まれていたもう一つの課題である,脳波計測を駆使した視覚的不快感の神経ダイナミクスの分析を進める.
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Causes of Carryover |
COVID-19による活動制限により,参加を予定していた国際会議および国内学会が中止あるいはオンライン開催となり,そのための旅費の支出が発生しなかった.また,他の経費についてもCOVID-19の影響により支出が減少した.
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Research Products
(6 results)