2021 Fiscal Year Research-status Report
Neural information processing of visual pleasantness, unpleasantness, and thrill
Project/Area Number |
20K21803
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本吉 勇 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (60447034)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 視覚 / 嗜好 / 情動 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 種々の時空間周波数,空間周波数・方位バンド幅をもつ静的・動的なバンドパスノイズ刺激の気持ち悪さを決定づける特徴量を明らかにした研究成果が国際学術誌に公刊された.さらに,新たに色の効果を検討した結果,古典的な色彩調和・色嗜好研究で主張されてきた特定の色相や組み合わせに対する嗜好性は追試できないことを確認するとともに,特定の輝度・色の相関構造が一貫して気持ち悪さを引き起こすことを発見した.(2) 自然表面画像を用いて気持ち悪さ・心地よさの評価データと画像統計量の相関を解析する研究において,PS合成画像を用いて得られた結果から,不快さが低次の画像統計量によりほぼ完全に説明されるのに対して快の評価はそうではないことが明らかになった.(3) 自然表面画像に対する視覚誘発電位と気持ち悪さ・心地よさの評価との関係を分析した結果,不快さに関連する脳波成分が頭頂葉に極めて短い潜時で生じること,かつそれが低次の画像統計量に対する応答により説明されることを発見した.(4) DNNを用いて,表面画像に対する視覚誘発電位から表面の主観的な質感評価・材質カテゴリを予測・判別する技術を開発するとともに,表面画像そのものを写真のような画質で復元する技術を開発した.(5) 西洋古典絵画史上における数万の絵画作品の画像を対象に,DNNにおける種々の画像特徴量を分析して,その分布に基づく様式の判別,作品の推定製作年やおよその製作地域に基づく特徴や様式の歴史的・地理的展開の可視化,をおこなった.その結果,伝統的な美術史における分類とのおよその合致を見出す一方で,特定の作家の孤立性など意外な傾向を発見した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にあった人工刺激を用いた検討について,国際誌原著論文を公刊するとともに,重要な特徴次元を新たに一つ発見することができた.脳波計測を駆使した視覚的不快感の神経ダイナミクスの分析も順調に進み,視覚野ではない脳領域に不快さに特異的な神経活動が生じることを発見するとともに,DNNを利用した新たな脳波解析技術も確立することができた.さらに,DNNを駆使した芸術作品の解析から,単純な快不快を超えた魅力に関する研究への方法論的基盤を得ることができた.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,引き続き視覚的不快感をもたらす視覚特徴条件およびその脳内表現を明らかにしていくとともに,本研究計画のもう一つの柱である「魅力的な不快さ」を支えるメカニズムの解明を目指す.
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Causes of Carryover |
研究計画の目的をより精緻に達成するための研究の実施のため.具体的には,実験データの追加,原著論文の投稿,および国内外における学会発表のため.
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Research Products
(24 results)