2020 Fiscal Year Research-status Report
Design of Coded Differential Spectroscopy
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20K21816
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Research Institution | Nara Institute of Science and Technology |
Principal Investigator |
舩冨 卓哉 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 准教授 (20452310)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安國 良平 奈良先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 助教 (40620612)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 分光計測 / 超解像 |
Outline of Annual Research Achievements |
分光計測は宇宙観測や細胞観察など,幅広い分野で活用されている.その中でも,分光から物質量の計量を行う計量化学の分野では,外乱の影響を排除するため波長微分した分光分布が用いられている.本研究課題は分光分布の波長微分値を取り出す新しい原理の分光計測手法の開発に挑戦する. 波長微分値は一般的に,分光器で計測した分光分布を計算処理することによって取得される.このアプローチでは,微分の精度が分光器の波長分解能に依存する.これに対し,本課題では,光学系の工夫と情報処理の融合により分光分布とその波長微分を直接計測する新しい原理の分光計測手法の開発に挑戦する. 一般的な分光計測は入射光を回折格子によって分光し,波長軸を空間軸に展開する.これを1次元に並べられたセンサを用いて光の強度を計測し,これを分光分布とする.ここで,波長微分値の精度を制約する大きな要因はセンサの画素数である.これに対して初年度は,2次元に並べられたセンサを少し傾けることによって,波長微分軸をもう1軸に展開して計測する手法を開発した.少し傾けることで,同一列にあるセンサはそれぞれわずかに異なる波長域を観測する.この観測過程を,光学系によって生じる波長依存のボケと連続的な分光分布に対するセンサの受光領域に応じた窓関数による畳み込み演算としてモデル化した.2次元センサの出力に対して逆畳み込み演算を行うことで,元のセンサと比較して数倍の波長分解能を達成できることを示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度は,分光器における光学系を工夫し,通常の2次元イメージセンサ上に波長軸と波長微分値の両方を空間軸に展開し,情報処理によって高い波長分解能を実現する新しい計測原理を実証できた.これにより,本課題の目的は概ね達成できたといえる. 次年度は,さらに波長微分値の時間軸への展開による全く新しい計測原理を模索する.
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Strategy for Future Research Activity |
初年度は通常のイメージセンサを用いて高波長分解能計測を実現した.これに対し,次年度は輝度値の時間微分値をイベント数として出力する,イベントカメラと呼ばれる非同期式のセンサを用いる. 初年度に時間微分値非同期計測と絶対値の同期計測を両方を実現可能なセンサであるiniVation Dynamic Vision Sensor DAVIS346を購入することができた.次年度はこのセンサを活用して,波長微分値の時間軸への展開を試みる.センサの振動やレンズ焦点の振動といったアプローチによって波長微分値を輝度値の時間微分へ展開し,これを直接計測する方法を模索する.
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Causes of Carryover |
当初参加を予定していた国際会議の開催形態などで大きな変更があり,これに係る外国旅費や参加費などで支出が大幅に減少した. 次年度は光学系の設計などで専門的な知識を有する研究員に協力を仰ぐなど,残予算を有効に活用して課題を効率的に推進したい.
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Research Products
(1 results)