2020 Fiscal Year Research-status Report
遺伝統計学と最適化理論の学際連携による大規模ゲノム情報の再解釈
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20K21834
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡田 随象 大阪大学, 医学系研究科, 教授 (70727411)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
垣村 尚徳 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (30508180)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 最適化理論 / 遺伝統計学 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模疾患ゲノム情報は、①:長大なゲノム配列の中でごく一部分の遺伝子変異のみが疾患に関与する「スパース性」、②:遺伝子変異数がサンプル数と比べて著しく大きいという「P>>N問題」、が特徴である。問題解決のために、遺伝統計学(statistical genetics)において、機械学習(machine learning)やペナルティ付き回帰モデル(LASSO)の適用が試みられてきた。しかし、ゲノム情報の社会実装を可能にするには至らず、さらなる手法開発が望まれていた。最適化理論は、ある制約のもとで最も良い解を見つけるための数理科学方法論として開発されてきた。情報科学や都市・金融工学など多彩なリアルワールドデータへの応用研究が盛んである。特に、グラフなど組合せ的な構造を持つ最適化問題に対しては、数理的構造に着目した効率的なアルゴリズム設計がなされてきた。しかし、ヒトゲノム情報解析を組合せ最適化問題として再解釈する研究については、異分野をつなぐ学際的研究活動が必要となるため、試みられてこなかった。本年度の研究においては、学際連携による遺伝統計学と最適化理論の融合を通じて、大規模ヒトゲノム情報の組合せ最適化問題としての再定義とグラフ構造としての解釈を試みた。さらに、個人の疾患発症予測精度の向上と本邦のゲノム個別化医療の社会実装を可能にするアルゴリズム構築を行った。並行して、解析対象となるヒトゲノム情報の構築を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
遺伝統計学および最適化理論を対象とした大規模ゲノム情報解析パイプラインに関する研究は順調に進んでいる。一方、解析対象となるゲノム情報の構築において、サンプル収集とデータ構築実験が初年度から次年度の執行へと移動した。少しの遅れが生じているが、次年度の早期にデータ構築が予定されており、研究計画全体に対する影響は限定的と予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
-引き続き、大規模ヒトゲノム情報の組合せ最適化問題としての再定義とグラフ構造としての解釈モデル構築を進める。解析対象となるヒトゲノム情報の構築と方法論の適用を通じて、研究を進めていく。
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Causes of Carryover |
解析対象となる大規模ゲノム情報の構築においてサンプル収集及びデータ構築実験に遅れが生じ、次年度における執行となったため。
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Research Products
(3 results)