2022 Fiscal Year Annual Research Report
発がんにおける組織幹細胞の細胞競合を可視化する解析系の確立とその応用
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20K21846
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
笹谷 めぐみ (豊島めぐみ) 広島大学, 原爆放射線医科学研究所, 准教授 (80423052)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
志村 勉 国立保健医療科学院, その他部局等, 上席主任研究官 (40463799)
神谷 研二 広島大学, 医療政策室, 特任教授 (60116564)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 放射線発がん / 化学発がん / 幹細胞 / 細胞競合 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、正常細胞は、「細胞競合」によりがん細胞を認識、排除していることが報告され、がん制御における「細胞競合」の重要性が注目されている。 我々はこれまでに、極低線量の発がん影響とDNA上の放射線痕跡を高感度に検出可能な放射線発がんモデルを開発した。さらに、このマウスモデルを用いて、発がんにおける「細胞競合」現象を示唆する知見を得た。そこで本研究課題では、我々の研究成果を応用し「細胞競合」を検出できるマウスモデル、およびex vivoシステムを開発、利用し、発がんにおける「細胞競合」を制御する分子機構の解明を目指した。 まず、数種類の遺伝子改変マウスを掛け合わせ、系譜追跡技術 (lineage tracing)により、幹細胞特異的に「がんの元となる細胞」を蛍光色素タンパクの発現により可視化するためのモデルマウスを作成した。次に、「正常幹細胞」と「がんの元となる幹細胞」における競合現象をみるために最適なタモキシフェンの濃度を確立した。実際に、タモキシフェンの投与により、「正常幹細胞」と「がんの元となる幹細胞」のみならず、「正常幹細胞」同士においても細胞競合が行われていることを明らかにした。タモキシフェン投与により誘導される蛍光色素を発現した「正常幹細胞」、「がんの元となる幹細胞」は、タモキシフェン投与後の時間経過とともにその頻度は減少するが、そのサイズが増加することを明らかにした。さらに、「がんの元となる細胞」の増殖速度を計測した結果、年齢により「細胞競合」の頻度は異なり、放射線発がんリスクが高い時期と、「がんの元となる細胞」が細胞競合の頻度に相関性がある結果を得た。本研究成果は、発がんにおける「細胞競合」の重要性を示す重要な知見といえる。
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Research Products
(9 results)