2023 Fiscal Year Annual Research Report
Formaldehyde induces superbulky DNA interstrand crosslinks
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20K21850
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
中村 純 大阪公立大学, 大学院獣医学研究科, 客員研究員 (90804518)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松田 知成 京都大学, 工学研究科, 教授 (50273488)
川西 優喜 大阪公立大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (70332963)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | グリシドアルデヒド / ALDH2 / DNA鎖間架橋 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度の研究実績で報告したようにリジン側鎖に付加したM2FAとDNA塩基との付加体が検出されなかった。そこで、われわれはグリシドアルデヒド(GALD)によるDNA鎖間架橋(ICL)の形成メカニズムとその生物学的重要性について実験を行った。2021年度の研究においてグリシドールと酵母由来のADHの反応によりGALDが産生されることを確認している。2023年度の研究では、グリシドールとヒト肝臓から得られたサイトゾール画分の酵素の反応によりGALDが産生されることをHPLC分析にて確認した。この結果からグリシドールとヒト肝臓のADHの酵素反応によりグリシドールの水酸基がアルデヒド基に変換され、グリシドールがエポキシ基とアルデヒド基の2官能基を持つGALDに代謝活性化されたことが明らかになった。すなわち、ヒトの体内においてグリシドールからGALDへの代謝活性化が起こりうることが十分考えられた。そこで、GALDがICLを惹起するか否かを検討した。ICLを作ることで知られている1,2,3,4-diepoxybutane を陽性対照化合物として用いた。当研究室にて化学合成されたGALDあるいは市販されている1,2,3,4-diepoxybutaneをそれぞれ直鎖化したプラスミドDNAと反応させたところ、1,2,3,4-diepoxybutane と同様GALDがICLを惹起することをアルカリゲル電気泳動法を用いて明らかにすることができた。これらの結果をまとめ2023年11月に行われた日本環境変異原ゲノム学会第52回大会のシンポジウム(新視点で迫るアルデヒドストームの生体影響)において研究内容を口頭発表した(演題タイトル:アルコール飲料に弱い日本人はグリシドール暴露に起因した毒性に感受性がある可能性がある)。
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