2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K21853
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
中島 一紀 北海道大学, 工学研究院, 准教授 (50540358)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 金属結合ペプチド / 都市鉱山 / ファージディスプレイ法 / バイオベースマテリアル |
Outline of Annual Research Achievements |
金や銀,白金族などの貴金属類は,電子・通信・情報,化学工業,エネルギー,医療など様々な産業に用いられており,我が国の持続的な資源戦略において,携帯電話・テレビ・パソコンなどの都市鉱山からの有用金属の分離・回収は最優先すべき課題の一つである。都市鉱山からの貴金属の回収において,電子部品などに含まれる貴金属は,王水やシアン化アルカリ溶液(青化液)により浸出・溶解され,その後,イオン交換樹脂による吸着などの分離法などによって回収される。しかし,イオン交換樹脂の金属イオンに対する選択性は一般に高くない。本研究では,バイオマスとタンパク質を組み合わせることで都市鉱山からの貴金属の回収が可能なバイオベースの金属イオン吸着剤を開発する。さらに,吸着と脱着が可能な吸着剤,および金属の様々な金属を含む溶液中から有用な貴金属を全て回収することができる吸着剤の開発を試みる。 本年度は,既存の遺伝子をベースとしたバイオベース貴金属吸着剤を作製した。金結合部位としてTepidimonas fonticaldi由来の金結合タンパク質(AuBP)を,バイオマス結合部位としてClostridium thermocellum由来の多糖結合モジュール(CBM)を融合した人工タンパク質AuBP-CBMを作製した。AuBPはメチオンニンやシステインなどの硫黄原子を含むアミノ酸に富んでおり,Auイオンに結合することが知られている。作製したAuBP-CBMをセルロースに結合させた完全バイオベースの吸着剤を作製し,水溶液中からのAuイオンの回収を調査した。K+,Ni2+,Co2+が共存する条件下でも,この吸着剤はAu3+への高い選択性を示し,80%弱のAuイオンを回収することが可能であった。さらに,吸着剤に結合したAuイオンはチオ尿素を用いることで90%近く脱着することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
完全バイオベースの貴金属イオン吸着剤の基盤技術を確立することができたが,一方で,当初本年度の目標としていた金属イオンへの吸着・脱着が可能なペプチド配列の獲得についてはファージディスプレイを用いた種々の検討を行ったが,目的の性質を示すペプチド配列の獲得には至らなかった。そのため,やや遅れていると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
目的のペプチド配列獲得について,その実験プロトコルに修正・改善すべき点がいくつか考えられるため,新しい獲得アプローチも含めてファージディスプレイによるペプチド配列の取得に向けて取り組む。また,マトリックスとなるバイオマスについても,不溶性多糖のキチンやキトサンゲル,セルロースナノファイバーなど種々の天然高分子を検討し,金属イオン吸着に適した材料を探索・検討する。
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Causes of Carryover |
2020年度は新型コロナ感染症の影響により,研究活動が大きく制限されたため,本来研究を行うために予算として計上していた物品費が予定より大幅に少なかった。また,出張も制限されたため,旅費としての使用もなかった。 2021年度も同様に新型コロナの影響はあると考えられるが,年度後半にかけて様々な制限が解除されればより研究を加速させて行う。さらに,国内および海外出張が認められるようになれば,研究打合せ・学会等に参加する予定である。
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Research Products
(3 results)