2020 Fiscal Year Research-status Report
Development of innovative chemical recycling system of plastic waste via low-temperature reforming
Project/Area Number |
20K21856
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笘居 高明 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (80583351)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成 基明 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 助教 (30747259)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | ケミカルリサイクル / 低温改質 / ナノ粒子触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
低温条件でプラスチックのガス化が可能となれば、合成ガスからプラスチックを合成する過程で排出される低温廃熱が、プラスチックガス化プロセスに融通できるようになるため、化石資源の燃焼が不要なリサイクルシステムが実現できる。本研究では、低温プラスチック分解プロセスを通じた革新的ゼロエミッションケミカルリサイクルシステムを提案する。 これまでに当研究グループで開発してきた低温動作酸化触媒である酸化セリウムナノ粒子および酸化鉄ージルコニア複合体ナノ粒子をポリエチレンと混合し、高温水、高温水蒸気それぞれと接触させ、分解挙動を評価した。その結果、400℃の低温下でもポリエチレンの分解が促進することを確認し、さらに水の存在が分解促進に寄与することを明らかとした。これにより酸素吸蔵放出能を利用した低温プラスチック分解のコンセプトが成立しうることが示唆された。 一方で、この水共存雰囲気での処理のみでは、目的としているプラスチックの合成ガスへの転換までは生じず、炭化水素の生成にとどまっていた。このことから、本プロセスの後段に、同じく低温での完全ガス化プロセスが必要であることが分かった。 そこで、これまで当研究グループで開発してきたケミカルループ型メタン改質プロセスを、炭化水素ガス改質に適用し、合成ガス化を行えるかを検証することにした。ケミカルループプロセスは、炭化水素の酸化プロセス(酸素キャリアからの酸素放出)と、水分解プロセス(酸素キャリアによる水分子からの酸素引き抜き)から成り、本研究においては、前述の水共存雰囲気でのポリエチレン分解処理の生成物である炭化水素の酸化プロセスがメタンと同様に進行するかを検証した。その結果、400℃の低温においても酸素キャリアによる炭化水素(デカン、ヘキサン等)の酸化が進行することが明らかとなり、低温プラスチック改質の可能性を見出すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、水共存雰囲気において、酸素吸蔵放出能を有する酸化触媒ナノ粒子により、プラスチックの完全合成ガス化を行う予定であった。しかし、実験の結果、生成物は炭化水素にとどまることから、本プロセスの後段に、同じく低温での完全ガス化プロセスが必要であるとの結論に至り、当初計画を変更することになった。最終目的達成に必要な実験を追加したことから、進捗状況は「やや遅れている」という判断であるが、プロセスの見直しの結果、低温プラスチック改質システムの実現可能性は向上したと考える。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、低温炭化水素プロセスの速度論解析から、完全合成ガス化のためのプロセス設計を進めることに加え、初段のプラスチック分解(炭化水素化)プロセスと炭化水素改質プロセスの反応速度を向上させ、300℃の低温においても両プロセスを進行させ得る、より活性の高い低温動作酸化触媒の開発を行う。 また、上記プロセス技術開発と技術アセスメントを連動し、開発するプロセスの動作条件と、既存プラスチック合成プラントの場所、操業状態、将来計画などの産業現場での制約条件から、国内で導入が可能となる既存プラントや新たに建設が可能な地域を提案した技術導入シナリオを作成する。
|
Causes of Carryover |
当初計画では、水共存雰囲気において、酸素吸蔵放出能を有する酸化触媒ナノ粒子により、プラスチックの完全合成ガス化を行う予定であった。しかし、実験の結果、生成物は炭化水素にとどまることから、本プロセスの後段に、同じく低温での完全ガス化プロセスが必要であるとの結論に至り、当初計画を変更することになった。最終目的達成に必要な実験を追加したことから、予算執行計画についても見直しを行い、他成分の炭化水素改質における反応速度解析のために、装置改良、消耗品増を見込む次年度に予算を確保することとした。
|