2020 Fiscal Year Research-status Report
Simple treatment of aluminum dross for odor removal
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20K21857
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
平木 岳人 東北大学, 工学研究科, 特任准教授 (60550069)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | ドロス / アルミニウム / 無害化 / リサイクル |
Outline of Annual Research Achievements |
国内で年間40万トンもの排出量があるアルミニウム産業廃棄物(ドロス)は、含有するメタル分や窒化物が水分と反応することにより、発熱を伴い水素や強烈な悪臭であるアンモニアを放出し、周辺環境に多大な悪影響を与える。これまで廃プラ等と同様に輸出の名目で中国に押し付けていたドロスが、現在驚異的なペースで国内に蓄積されており、事態は極めて深刻な状況を迎えている。本研究では、「国内外で深刻さを増すドロス問題」を「極めて付加価値の高い吸着材料生産」へと大きく転換させる技術の実証を目的として、本研究年度ではドロスの収集・分析とドロスの湿式処理を主として実施した。ドロスの収集分析については大手アルミニウムメーカーおよび二次合金メーカーからそれぞれ難処理性ドロスを収集し、ドロス中の構成相、組成、粒径、形状等について、X線回折、波長分散型蛍光X線、粒度分布、電子顕微鏡等を用いて分析を行った。そこでは、難処理性ドロスは一様に金属アルミニウム含有率が20%以下の酸化物を主とした構成の粒子であり、窒素分を5~10%程度、塩素やフッ素のハロゲン化合物を各数%含み、粒径は100ミクロン以下の微粒であり、各粒子には酸化物や窒化物が複雑に混在していることがわかった。またそれらの難処理性ドロスをセラミックス原料等へと改質するために実施した湿式処理では、室温レベルの水で用意に金属アルミニウムや窒化物を水酸化物へと改質可能であることがわかった。また湿式処理で発生する悪臭のアンモニアは、オゾンを共存させることにより容易に除去可能であることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アルミニウムメーカーの協力により、実廃棄物としてのアルミニウムドロスを複数種類収集し、分析することができた。分析については東北大学技術部の協力により高精度のデータを収集することができた。湿式処理については担当学生の協力により計画通りの処理を行うことができ、処理物の分析についても順調に実施することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
分析と湿式処理を終えて無害化されたアルミニウムドロスについて、悪臭除去材料としての評価を実施する。既に悪臭除去を実施するための設備は2020年度に準備しており、計画通りに実験を行える予定である。悪臭除去試験においては、代表的な悪臭であるメチルメルカプタンの除去試験を主として、アンモニア等の悪臭についても試験を試みる予定である。またその除去メカニズムを明らかにし、より悪臭除去に特化したアルミニウムドロスの合成方法として成果を還元することを目標とする。
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Causes of Carryover |
コロナ禍において対面打ち合わせが行えず特に装置設計と外注に関する打合せについて困難が生じたため。
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