2020 Fiscal Year Research-status Report
人工循環系による人工物の安定化と不安定化に関する研究
Project/Area Number |
20K21869
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
長濱 峻介 早稲田大学, 理工学術院, 次席研究員(研究院講師) (70754745)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 重樹 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00187634)
|
Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
|
Keywords | 環境負荷低減 / 溶解 / ハイドロゲル / 分解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,機械が活動している間は安定的で,活動しなくなったら不安定化し分解するという仕組みの実現を目指したものである. 今年度は,溶解するハイドロゲル(不安定化に関わる材料)と乾燥耐性を有するハイドロゲル(安定化に関わる材料)の開発と評価を行った.溶解するハイドロゲルに関しては,高湿度環境下で溶解するハイドロゲルの強度や動的粘弾性の経時変化の評価を行った.環境試験機を用いた高湿度(95%r.h.)かつ常温の環境下で,合成したゲルを静置した後,強度と動的粘弾性の測定を行い,静置前後のサンプル間での比較を行った.強度に関しては,破断強度の低下がみられた.また,動的粘弾性率においては,貯蔵弾性率の低下がみられた.これらの結果から,本研究のハイドロゲル材料が溶解し液体的な性質に変化したことを定量的な差として確認できた.また,セルロースナノファイバー(CNF)を添加することで動的粘弾性の変化率を変更可能であることを確認した.一方で,CNFにより材料の弾性率が大きく向上したため固体的な性質を保っていただけであり,変化量としてはCNFを添加していないサンプルと同程度であることが示唆される結果も得られた.強度もCNFの添加により大きく向上したため,高湿度化で静置した後もCNFを添加していないサンプルと比較すると破断強度が大きくなった.研究課題の内容と直接の関係はないが,本研究において合成したゲルがナイロンなどの樹脂材料に強固に吸着(接着)することを発見した.また,乾燥耐性を有するハイドロゲルの開発に関しては,生物の乾燥耐性を模倣した構造をハイドロゲル材料に組み込むことで,乾燥による体積や重量の変化の比率を制御することが可能であることを確認した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究費の交付が遅かったため,装置の購入などが遅くなった.
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度は,材料の不安定化と安定化に関する評価が可能な環境を構築することができた.今後は,人工循環系などを用いて能動的に不安定化(溶解や分解)と安定化(乾燥防止)を実現する技術の開発を進める.
|
Causes of Carryover |
環境試験機の購入時に,従来の計画よりも安価に購入することができたため,次年度使用額が生じた.使用計画としては,新たなサンプルを用いた実験をするための薬品の購入や人件費に充てる.
|