2022 Fiscal Year Research-status Report
人工循環系による人工物の安定化と不安定化に関する研究
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20K21869
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Research Institution | Kyoto University of Advanced Science |
Principal Investigator |
長濱 峻介 京都先端科学大学, ナガモリアクチュエータ研究所, 助教 (70754745)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅野 重樹 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (00187634)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 流路 / 3Dプリント / ハイドロゲル / アクリルアミドゲル / アルギン酸カルシウムゲル / 光重合開始剤 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,複雑な流路形状をハイドロゲル内に導入する手法を検討した.主に光造形式3Dプリンタを用いた手法の構築を行った.アルギン酸ナトリウムを含んだアクリルアミド溶液を3Dプリント用の材料として,アクリルアミドゲルを市販のDLP光造形式3Dプリンタを用いて立体造形した.その後,塩化カルシウム溶液に浸漬することで,アルギン酸カルシウムゲルを立体的に造形することには成功した.この際,バイオ3Dプリンタの分野で一般的に用いられている水溶性で高価な光ラジカル重合開始剤 Lithium Phenyl(2,4,6-trimethylbenzoyl)phosphinate(LAP)を用いずに,非水溶性で安価な光ラジカル重合開始剤 Diphenyl(2,4,6-trimethylbenzoyl)phosphine Oxid(TPO)を水に分散させる手法を開発し,TPOを用いた立体造形を行った.結果として,10mm程度の太い流路は作製可能であるが,細い流路を作成することが難しかった.安価な手法でハイドロゲルを立体造形することはできたが,本研究においては人間の毛細血管程度(1mm以下)の流路を構築したい.そのため,現在新しい手法で細い流路の作製を行っており,複雑で細い流路形状が得られつつある. また,流路内の状態を変化させるためのマイクロカプセルの開発に関しては,グレースケールリソグラフィを用いて作成した型を用いてゲルの形成を行っている.型の製作手法は確立できたが,まだ目的の機能(薬物の徐放)を実現できていないため,今後実施していく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ゲル内への流路の作製方法に関しては,型を用いた手法,3Dプリンタを用いた手法,立体造形した低融点金属を用いた手法を開発し,これにより様々なハイドロゲル材料内に流路を埋め込むことが可能となった.一方で,構造を破壊するための手法の開発が遅れている.キレート剤を利用したアルギン酸カルシウムゲルの破壊は昨年度確認したものの,大量のキレート剤が必要になることが明らかになっており,キレート剤を循環路から供給することによる構造の破壊は現実的でない可能性がある.そこで代替する手法の開発が必要であると考えているが,その手法があまり思いついていない状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
今年度までに流路を埋め込む方法は様々な選択肢が得られたため,今後はゲル構造を破壊する手法に重点を置きたい.今のところ構造の破壊を確認できているキレート剤を用いる手法としては,キレート溶液の濃度を上げることと,アルギン酸カルシウムゲル(AlgCaゲル)の構造の工夫すること(AlgCaゲルをメッシュ状に構築しその内部で他のゲルを重合することにより,AlgCaゲルの破壊時に構造がバラバラになる機構)により構造を効率的に破壊することを目指す.また引き続きキレート剤以外にゲル構造を破壊する手法を考察していく.
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Causes of Carryover |
非水溶性のTPOを用いたハイドロゲルゲルの立体造形,低融点合金を用いたゲル内への循環路の埋め込み手法,溶ける材料の研究テーマがそれぞれ論文が書けると思われるが,データが取り切れていない.それらの結果をまとめるために,予算を使用したい.
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