2023 Fiscal Year Annual Research Report
Development of a simulator to evaluate the efficacy of an antibacterial agent to resident and resistant bacteria
Project/Area Number |
20K21875
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
石川 拓司 東北大学, 医工学研究科, 教授 (20313728)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 腸内フローラ / シミュレーション / 可視化実験 / 大腸菌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主な研究対象をゼブラフィッシュと線虫とし、腸内流動と腸内細菌挙動、物質吸収を可視化計測した。主な研究実績は、以下の通りである。 1.大腸菌などの細菌が、流れ中でストリーマーと呼ばれるバイオフィルムを形成する現象に着目し、その数理モデル化を行った。マクロなレオロジー特性とストリーマー形状との関係を解明した成果は、学際研究で定評のあるInterface誌に掲載された。 2.線虫の腸内流動と腸壁への物質吸収を可視化計測した。その結果、腸内流動によって腸壁への物質輸送が促進されることが明らかとなり、促進量はペクレ数の2乗に比例することが分かった。この成果は、総合誌で定評のあるScientific Reports誌に掲載された。 3.流れ中の大腸菌の鞭毛挙動を詳細に調べ、せん断速度が閾値を越えると鞭毛が束化できなくなる現象を発見した。この現象は本研究で新たに発見されたものであり、物理学分野で注目されているCommunications Physics誌に掲載された。 4.蛍光グルコースを用い、線虫腸壁への物質吸収過程を可視化計測する技術を開発した。グルコースが腸壁直上の層に蓄積される現象は、生物学で広く認知されているBBRC誌に掲載された。5.薬剤がゼブラフィッシュの腸蠕動と、腸内細菌分布に及ぼす影響を可視化計測した。薬剤の投与により優位に腸内流動や細菌叢が変化する結果は、国際会議にて発表した。 6.ゼブラフィッシュ腸内の観察において、細菌が腸壁の窪みに集積する傾向がみられた。連続体モデルを用いた数値解析を行うことで、腸内細菌が生物学的な走性と、壁から受ける物理的な刺激の両方の効果で背側の窪みに集積することが明らかとなった。この成果は、生物学分野で定評のあるBMC Biology誌に掲載された。
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