Novel technology of bio-functional control based on quantum beam technique for life science research

2020 Fiscal Year Research-status Report

• Project/Area Number: 20K21876
• Research Institution: Tohoku University
• Principal Investigator: 菊池 洋平 東北大学, 工学研究科, 准教授 (50359535)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 水上 進 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (30420433) ; 金井 泰和 大阪薬科大学, 薬学部, 助教 (60397643) ; 松山 成男 東北大学, 工学研究科, 教授 (70219525) ; 藤代 史 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 講師 (90546269)
• Project Period (FY): 2020-07-30 – 2023-03-31
• Keywords: 生体機能制御 / ナノ粒子 / 量子ビーム

Outline of Annual Research Achievements

本研究課題では、生体内に注入したナノ粒子（機能制御物質）の機能を量子ビーム照射で制御することで生体深部における生体機能を時空間的に自在に操作する技術概念を確立するものである。この技術の根幹となるのが前述のナノ粒子の合成技術であり、今年度（２０２０年度）の研究計画においては、主にこの合成プロセスの検討を行った。本研究で提案する当該のナノ粒子は、蛍光粒子のコアをメソポーラスシリカの外殻で被覆したコア－シェル型の粒子であり、まず、蛍光粒子の合成方法を検討した。この蛍光粒子はGd（発光中心）添加YPO4のナノ粒子であるが、紫外蛍光の発光強度に関係するGdの添加量について最適化することができた。次に、この蛍光粒子をミリング処理によって微細化し、これをコアとしたコア－シェル型の機能制御粒子の作製を試みた。このコアをメソポーラスシリカで被覆したうえで表面のメソ孔に生体機能に作用する化合物を導入し、この放出を量子ビームで制御することで生体操作が可能になるものと推測される。メソ孔には導入した化合物を封入するためのフォトクロミック・ナノバルブ分子を合成し、量子ビーム照射によるコア粒子の発光によってバルブの開放が制御される。このナノバルブまでの合成を行った粒子に対して取得されたTEM画像から、コア－シェル構造とその表面のメソ孔の形成を確認することができた。また、メソ孔内に色素を封入した粒子を溶媒中に分散させ、これに対してX線照射を行ったところ、色素の放出を表す吸光度の変化が確認された。この結果は、生体操作の作用がある化合物を封入した粒子を生体投与し、これに量子ビームを照射することによって当該の化合物の体内放出を制御可能であることを示唆するものである。

Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初の計画に沿って、研究・開発を進捗することができた。機能制御物質の合成について、コア粒子の作製方法の最適化を終了することができたほか、当該物質の一連の合成方法に関しても計画立案時点で想定した案に基づくことで達成できる目途が確認できたため、研究の進捗としては順調に推移しているものと推測する。

Strategy for Future Research Activity

今年度（２０２０年度）までと同様に、当初計画に従って研究を推進していく。実績の概要と研究の進捗状況等で述べた通り、本研究概念のキーとなる機能制御物質の作成に関して有望な結果が得られていることがから、計画の大枠の変更を行う必要は無いものと考える。

Causes of Carryover

次年度使用額が発生した理由としては２つが挙げられ、１点目は機能制御物質の試行錯誤が当初予想よりも円滑に進み、これについて使用する予定であった部材等の購入が抑えられたことである。また、２点目としては、共同研究者との議論や訪問実験を抑えた方法によっても当初計画と同等の研究活動が行えた点が挙げられる。これらの使用計画としては、次年度以降に本格化する機能制御物質を用いた生体等に対する機能制御の実証実験をより拡充することを考えており、これによって技術概念の実現と有効性の実証をより効果的に行えるものと推測する。