2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K21877
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
西澤 松彦 東北大学, 工学研究科, 教授 (20273592)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 昭太郎 中央大学, 理工学部, 助教 (20785349)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 表皮電位 |
Outline of Annual Research Achievements |
体重の16%を占める最大臓器である「皮膚」は,体内の恒常性維持を担う生命の根幹であ り,最近は温度・光・圧力などを感知して応答する自律的な機能が注目されている。本研究では,これらの刺激に対する皮膚応答を,表皮層のイオン構造(イオン局在)に対応付ける「皮膚イオニクス」を探求した。 具体的には、表皮細胞のイオン輸送が造り出す40~60mVの電位差「表皮電位」を刺激応答の現場(in-situ)で計測するための技術開発を行い,さらに,パッチ形状への加工によって長時間・多点計測の実現にも成功した。表皮電位計測パッチの実現においては、エポキシ樹脂の多孔体で作製したマイクロニードルアレイに対して、ニードル先端部のみを露出させたるための被膜法を開発した。得られた新規マイクロニードルは針の先端のみが開口した多孔体であり、表皮の直下への高精度・低侵襲なマイクロ塩橋の設置が実現した。これによって、従来の無痛注射針を用いる表皮電位計測系に比して格段に計測安定性が向上して、パッチへの適用が可能になった。さらに、電位計測のための可逆電極対に関しても先行論文を参考にしてフレキシブルなパッチ形状に造りこむことができた。先端開口マイクロニードルとフレキシブル可逆電極パッチを組み合わせて行った実験によって、上腕内側での表皮電位計測が4時間安定に計測でき、翌日にもほぼ同一の電位値が4時間以上計測された。長期計測に必要な十分な安定性と再現性が確認できたと言える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
表皮電位を精度よく安定に長期計測するために必要な先端開口ポーラスマイクロニードルの開発に成功したことは、一種のボトルネックのブレークスルーに相当する成果である。数年前に研究室で開発したエポキシ樹脂の多孔体によるマイクロニードルアレイに対して、ニードル先端部のみを露出させたるためのパリレン被膜法を開発することによって、先端のみが開口した多孔体ニードルが実現した。先端部が尖っている状況を保持しながら敵札なサイズの開口径を設定できることの意義は大きい。先端開口径10ミクロン程度に調節したニードルを用いると、表皮の直下への高精度・低侵襲なマイクロ塩橋の設置が実現した。さらに、電位計測のための可逆電極対に関してもフレキシブルパッチの作製に成功してている。これらの成果により、今後は、表皮電位の日内変動など、長期計測と刺激応答変化の計測と解析による皮膚イオニクスの開拓が大きく進展すると期待できる。
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Strategy for Future Research Activity |
先端開口ポーラスマイクロニードルと、フレキシブルな可逆電極対パッチの開発に成功したことにより、長期計測と刺激応答変化の計測と解析による皮膚イオニクスの開拓が可能になったと言える。計画書に記載の検討項目①~⑥を推進する予定である(①光 ・機械刺激への皮膚応答を評価、②皮膚バリア機能の電気的制御、③バイオ電池による表皮電位制御、④シート型の表皮電位計測パッチの開発、⑤表皮電位の日内変動のモニタリング、⑥多点計測で皮膚内伝搬メカニズムを探索)。
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Research Products
(1 results)