2021 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21878
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
千葉 明人 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (30435789)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂本 高秀 東京都立大学, システムデザイン研究科, 准教授 (70392727)
呂 国偉 会津大学, コンピュータ理工学部, 上級准教授 (30599709)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 光干渉断層像 / 高速波長掃引 / 光コヒーレンストモグラフィ |
Outline of Annual Research Achievements |
周波数走査光干渉断層計は黄斑疾患や緑内障をはじめとする網膜疾患の診断ツールとして不可欠となっているが、断層画像取得における高速化・高精細化は未だに強く望まれている。本研究はこの実現の鍵となる光源の波長掃引レート(単位時間当たりの掃引回数)増大に向けて、光源の波長選択のしかたに立脚した独自手法を提案しその検討を行うものである。 今年度はまず、前年度に引き続き波長選択素子の仕様を検討した。素子の波長範囲については発光体(利得媒質)の3dB波長域を極力カバーできるものを探索し、その7割程度の波長範囲が上限とみられたためそれらに焦点をしぼった。素子そのものの自由スペクトルレンジ(FSR)はその数%程度とし、提案手法による実効的なFSRが上述の波長範囲を超えるよう諸量の設計を行った。その設計に基づくと、素子に入力する信号の掃引に伴い光パルス列が得られ、またその波長は上述の波長範囲でチャープする。素子の透過波長シフト量がそのFSRに等しい場合、光パルス列の繰り返し周波数は素子を駆動する信号周波数の60倍程度と試算される。また素子の透過波長シフトをFSRの整数倍とすると、得られる光パルスそのものおよび波長チャープの繰り返し周波数が整数倍されて得られると見込まれる。これらの過程では、光波の波長軸に対する透過域や掃引範囲など所望とみられる条件に対して実在品が抱えるギャップも多少みられたため、両者を考慮した仕様の見直しも逐次進めた。そしてこの結果を踏まえて、該当する素子の準備を進めた。しかし昨今のパンデミックは現在も継続しており、それに伴い他の実験物品の手配にも遅延が生じた。そのため当初は2カ年計画として予定していた本研究課題の期間を1年間延長し、次年度(2022(令和4)年度)に実験的検討を進めることとした。並行して提案手法のモデル化とその解析も行い、有用性など新たな知見の探求に繋げる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題開始年度の前年度(2019年度)末から世界的規模で新型コロナウィルスがまん延し、現在もその収束の見通しが立たない状況が続いている。この点は製品を製造するメーカに加え、その手配を仲介する代理店のレスポンスにも影響している。特に、本研究提案において最も本質的となる素子は外国製のものを選択せざるを得なかったため、物流事情も加わり影響はより顕著となった。そのため本研究課題の実施期間を1年延長し、最終年度を2022(令和4)年度に繰り下げることとしたが、主な理由はあくまでパンデミックの影響であり本課題(助成金)の事業期間が複数年度である点からも問題は殆どないと考えられる。最終年度となる2022(令和4)年度末までに当初の計画遂行が見込まれる点から、上記の区分が最も妥当であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、これまでに準備を進めた素子等を利用した実験的検討を行う。具体的には、掃引波長範囲や掃引速度など各条件において得られる動作を評価する。またその結果を踏まえて、利得媒質など他の構成要素と統合した系の試作に向けて物品調達を進め、光源としての動作の実験的実証に取り組む。光源の光スペクトル評価に加え、光干渉計による可干渉性や空間分解能の評価などを通じて、従来手法との定量的比較による有用性の実証を目指す。更にモデル解析やシミュレーションなどの結果から予想される最適条件との比較検討も進め、その検討結果に基づいてボトルネックや今後の課題などを整理し性能向上の足掛かりとする。
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Causes of Carryover |
昨今の新型コロナウィルスの世界的まん延は昨年度も引き続き顕在しており、本研究課題で本質的な役割を果たす素子に関わる各種企業の対応の遅延や流通事情などもその影響を受けた。この点は実験用物品の手配にも影響したため、当初は2カ年計画として予定していた本研究課題の期間を1年間延長し、次年度(2022(令和4)年度)に実験的検討を進めることとした。次年度使用額は、実験的検討に必要となる備品や消耗品の調達や、論文掲載・学会発表などの成果発表などに充てる。
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Research Products
(3 results)