2020 Fiscal Year Research-status Report
フレキシブル熱電変換素子を用いた自己発電型生体情報センサの開発
Project/Area Number |
20K21886
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
池田 浩也 静岡大学, 電子工学研究所, 教授 (00262882)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 生体情報センサ / 熱電変換 / フレキシブルデバイス / 酸化亜鉛 / ナノ結晶 / マイクロ波励起水熱合成法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,熱電発電デバイス自体に信号増幅作用を付加した生体情報センサの開発を目指している.本年度得られた主な成果を以下に示す. 1.自己発電型センサの基本材料となるフレキシブル熱電材料として,ZnOナノ結晶/導電性布に着目した.炉を使った一般的な水熱法に代えて,試料作製プロセス時間の短縮化のため,マイクロ波水熱法を導入した.プロセス条件を変えて作製した試料を,電子顕微鏡およびX線回折装置により解析した結果,柱状のZnOナノ結晶がニッケル銅布表面に成長することを確認した.一般的な水熱合成法では5-10時間かけてZnOナノ結晶を成長していたが,マイクロ波励起水熱合成法では成長時間を10-20分程度と,劇的に短くすることができた. 2.フレキシブル熱電デバイスの発電特性を測定するための装置を構築した.3種類の導電性布を使って,50対のp型・n型半導体から成る発電デバイスのプロトタイプを作製し,そのデバイスの発電特性を実測しつつ,測定精度の向上を行なっている. 3.p型半導体とn型半導体の対で構成される熱電発電デバイスが,センサ機能・信号増幅機能を持つかを確認するために,アルメルクロメル熱電対とコンデンサを用いて模擬実験を行なった.熱電対に温度差を与えつつ周期的信号を印加したところ,周期的な波形がコンデンサを通して熱電対端子に観測された.直列につないだ熱電対の数だけ信号振幅も拡大されており,熱電発電デバイスによるセンサ機能・信号増幅作用の可能性を示すことができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マイクロ波励起水熱合成法によって柱状ZnOナノ結晶を導電性布上に成長できたことは,本研究の最初のハードルになると考えていたため,大きな成果である.構築した発電特性評価装置を使って,フレキシブルデバイスのプロトタイプの特性を測定できたことも大きい.また,模擬実験で熱電発電デバイスによるセンサ機能・信号増幅作用の可能性を示すことができたことも,予定通りである.
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロ波励起水熱合成法では,結晶成長パラメータが多岐に亘る.所望のZnOナノロッド構造を得るための成長条件の最適化を行なうためには,それぞれのパラメータが結晶成長に及ぼす物理的・化学的影響をひとつひとつ解明しながら進める必要がある. 実際のフレキシブルデバイスについても,異種布間での電気的・熱的接触抵抗が課題になると考えられるため,導電糸の使用や縫い目の増加など,接触抵抗を低減するための方策を試す.
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Research Products
(4 results)