2020 Fiscal Year Research-status Report
siRNA搭載エキソソーム産生細胞を利用した組織―細胞二段階ターゲティング法開発
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20K21891
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 有己 京都大学, 薬学研究科, 准教授 (00547870)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | 細胞外小胞 / エキソソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
siRNAは医薬品としての提供が期待されるが、その実現には標的細胞特異的なsiRNA送達法が必要である。標的細胞への送達に際しては、その細胞が存在する標的組織への送達、さらには標的細胞への送達の二段階が必要である。これまでに開発されてきたデリバリー法は、標的細胞へのリガンドを利用し、標的組織ならびに標的細胞へのデリバリーを試みるものである。このアプローチの標的指向性はリガンド特異性のみに依存するため、標的組織・細胞特異的な送達が困難な場合も存在する。そこで本研究では、siRNAを搭載した標的細胞指向性エキソソームを産生する細胞を構築し、さらにこの産生細胞に標的組織移行性を賦与することによる、組織―細胞の二段階の標的指向化に基づく革新的なsiRNA送達法の開発を目指すこととした。 モデルエキソソーム産生細胞として、HEK293細胞を選択し、siRNA搭載エキソソーム産生細胞の構築について検討を行った。検討に際しては、RNA結合タンパク質ならびにそれに認識されるRNA配列を利用した。エキソソームへのRNA搭載は定量的RT-PCR法により評価した。その結果、RNA結合タンパク質を利用することで、エキソソームへのRNA搭載量の向上が可能であった。 細胞の組織指向性の向上を目的として、モデルの標的組織として腫瘍組織を想定し、腫瘍組織から産生されるケモカインMCP1の受容体CCR2を遺伝子導入した。CCR2遺伝子を導入した細胞は、MCP1に応答したケモタキシスを示すことを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以上のようにエキソソームへのRNA搭載の効率の向上に成功するとともに、CCR2遺伝子導入によるMCP1依存的なケモタキシスも確認できたことから、研究は順調に進捗したものと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、細胞の腫瘍組織集積性についてin vivoで評価するとともに、エキソソームへのRNA搭載による効果についても検証する。
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