2022 Fiscal Year Annual Research Report
酸素生成・組織化時間制御機能を有する担体を導入した血管化培養組織の構築
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20K21902
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
梶原 稔尚 九州大学, 工学研究院, 教授 (10194747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
水本 博 九州大学, 工学研究院, 准教授 (90346817)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 組織工学 / バイオマテリアル / ハイドロゲル / 酸素供給 / 三次元培養 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、高い細胞密度を有する培養組織の構築と血管網導入までの生存率支持を目的として、一時的に酸素供給が可能な培養基材の開発について検討を行っている。酸素供給法としては過酸化カルシウムの加水分解による酸素放出に着目し、過酸化カルシウム含有コラーゲンゲルによる酸素放出能の定量的評価と培養細胞を用いた有効性評価に取り組んでいる。本年度は、前年度に引き続き、過酸化カルシウム含有コラーゲンゲルから放出される酸素について、酸素移動容量係数を推算した。コラーゲンゲル中での過酸化カルシウム濃度を0.7mMから15mMまで変化させ、酸素移動容量係数を求めた結果、酸素移動容量係数は過酸化カルシウム含有量に応じて増加した。また、測定系からゲル包埋培養系へとガス吸収における界面積の換算を試みた結果、10の8乗オーダーの細胞密度でのゲル包埋培養において細胞の生存に必要な酸素供給が可能であることが示唆され、高密度培養への適用の可能性が示された。 一方、培養細胞を用いた評価として、初代肝細胞を用いた過酸化カルシウム含有ゲル包埋培養を試みた。この結果、十分量のカタラーゼを添加し、ゲル中の過酸化水素濃度を低く保つことにより肝細胞への細胞傷害性を示さないゲルの調製条件を見出した。この条件下で1%酸素雰囲気下で培養を行った結果、過酸化カルシウムを添加することにより漏洩LDH量の減少が示された。この結果は低酸素環境下において細胞に対し酸素を供給したことにより細胞の生存率を改善できたことを示唆している。また、培養中のグルコース消費と乳酸生成について検討した結果、過酸化カルシウムを添加することにより、対照群に対し好気的環境であったことが示唆された。以上の結果、本研究で調製した過酸化カルシウム含有コラーゲンゲルは細胞に対し一時的に酸素を供給可能な培養基材として有効であることが示唆された。
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Research Products
(7 results)