2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K21905
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
浅井 知浩 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (00381731)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2022-03-31
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Keywords | drug delivery system / マイクロディスク / 好中球 / 脳梗塞 / superoxide dismutase |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、脳梗塞の病態進行に合わせた斬新なdrug delivery system(DDS)の開発を目指し、好中球を担体として薬物を送達するNeutrophil-mediated DDS technologyに関する研究を行った。はじめにマイクロコンタクトプリンティング法を用いて好中球の表面に搭載する扁平状マイクロ粒子 (マイクロディスク)を調製した。生体適合性が高い乳酸-グリコール酸共重合体(Poly(lactic-co-glycolic) acid: PLGA)をマイクロディスクの主材料として用いた。細胞接着部は、好中球に発現することが知られるCD206とCD44にそれぞれ親和性を有するキトサンとヒアルロン酸をLayer-by-layer法により積層させて作製した。平均直径3.9マイクロメートルのマイクロディスクとマウス好中球をインキュベートしたところ、約50%の好中球にマイクロディスクが修飾された。マイクロディスクの修飾が好中球の遊走能に及ぼす影響をトランスウェル法により評価した結果、遊走能への影響はほとんどないことが示唆された。またマイクロディスク単体では血管内皮細胞の層を通過しないが、好中球に修飾することでマイクロディスクが透過することが明らかになった。次にマイクロディスクにモデル薬物としてsuperoxide dismutase(SOD)の封入を試みたところ、SODの封入率が低く、封入に関するさらなる検討が必要な結果となった。そこで、脳保護効果が報告されているタクロリムスを封入したマイクロディスクについても並行して検討を行った。その結果、マイクロディスクに封入したタクロリムスは好中球の遊走能に影響を与えないことが示唆された。以上の結果より、作製したマイクロディスクを用いることにより、好中球を担体とした薬物送達が可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
PLGAを主成分とするマイクロディスクの作成、マウス好中球の単離、フローサイトメトリーを用いたマイクロディスクの好中球への結合性評価、トランスウェル法を用いた好中球の遊走能評価など、ほとんどの実験は当初の計画通りに進み、良好な結果が得られている。一方でマイクロディスクへのSODの封入に関しては改善が必要であり、封入方法の改善について検討している。photochemically-induced thrombosis(PIT)法あるいは栓子法による中大脳動脈閉塞マウスの作成法は確立済みであり、すでに動物実験の予試験にも着手している。以上より、全体としてはおおむね順調に推移していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
Neutrophil-mediated DDS technologyによって脳梗塞の障害部位にSODを送達することにより、脳梗塞急性期から修復期に至るまでラジカル消去を作用機序とした脳保護効果が期待できる。今後はマイクロディスクへのSODの封入率の改善を図りながら、Neutrophil-mediated DDS technologyの有用性を証明するための実験を継続する。脳梗塞の動物モデルとしてPIT法あるいは栓子法により作成した中大脳動脈閉塞マウスを用い、薬物動態に関する検討を実施する。マイクロディスク内のSODと好中球をそれぞれ蛍光色素で標識した後、SOD含有マイクロディスクを搭載した好中球を作成する。これを脳梗塞モデルマウスに静脈内投与することにより、障害部位選択的な薬物の集積を明らかにする。さらに、細胞保護効果や脳梗塞モデルに対する治療効果を指標にし、Neutrophil-mediated DDS technologyの有用性を評価する。脳梗塞モデルマウスにSOD含有マイクロディスクを載せた好中球を投与し、その脳保護効果を明らかにする。Neutrophil-mediated DDS technologyが従来技術では得られない治療効果を生み出すことを実験的に証明することにより、本研究のProof of Conceptを行う。
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Research Products
(22 results)
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[Journal Article] Claudin-2 binding peptides, VPDSM and DSMKF, down-regulate claudin-2 expression and anticancer resistance in human lung adenocarcinoma A549 cells.2020
Author(s)
Nasako H, Akizuki R, Takashina Y, Ishikawa Y, Shinoda T, Shirouzu M, Asai T, Matsunaga T, Endo S, Ikari A
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Journal Title
Biochim Biophys Acta Mol Cell Res.
Volume: 1867
Pages: 118642
DOI
Peer Reviewed
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