2022 Fiscal Year Research-status Report
機能性ブロックポリペプチドを用いた臓器被膜の再構築
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20K21907
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
松原 勤 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 准教授 (20628698)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鳴瀧 彩絵 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (10508203)
湯浅 明子 (小島明子) 大阪公立大学, 大学院生活科学研究科, 准教授 (90295709)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 機能性ブロックポリペプチド / エラスチン / 臓器被膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人工肝臓の基盤構築を目指し、細胞培養可能な人工エラスチン膜の開発を目指している。初年度目、エラスチンの基本構造を組み合わせた機能性ポリブロックペプチドが肝細胞や肝星細胞といった肝臓の構成細胞を培養できることを確認した。2年度目には天然エラスチンを用いて伸縮性エラスチン膜および、その薄層化に成功した。 本年度は、この伸縮性エラスチン膜の風船化(袋状にすること)に挑戦した。まず、3Dバイオプリンターを用いて風船化をするために、伸縮性エラスチン膜に使用した材料(エラスチン・ゼラチンの混合液)のインク化を目指した。エラスチンやゼラチンの組成など複数の項目について検討したが、3Dバイオプリンターに適したインクを構築することができなかった。そこで、アイスクリームにチョコレートコーティングするアイデアに基づいてディップ法による風船化を試みたところ、直径5mm程度ではあるが風船化した伸縮性エラスチン膜の開発に成功した。 一方で、伸縮性エラスチン膜に使用した材料(エラスチン・ゼラチンの混合液)がもたらす細胞障害性について検討した。通常培地で10倍希釈した高濃度のエラスチン・コラーゲン混合液は、37度でゾル化、4度でゲル化する。37度培養では、高濃度のエラスチン・コラーゲン混合液を用いてHepG2細胞ならびにHEK293細胞を培養すると、通常培地に比べ細胞生存率が10%程度であった。一方、4度培養では、通常培地では細胞生存率が数%程度であるに対して、高濃度のエラスチン・コラーゲン混合液を用いてHepG2細胞ならびにHEK293細胞を培養すると細胞生存率が80%であった。細胞が液体よりもゲルの方が安定的に存在するというアイデアをサポートする結果が得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ほぼ予定通りに進捗している。
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Strategy for Future Research Activity |
風船化した伸縮性エラスチン膜で細胞培養可能であることを検証する。 細胞毒性が少ないエラスチン・コラーゲン混合液を開発する。
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Causes of Carryover |
伸縮性エラスチン膜の材料が想定外の機能を有することを発見し、その機能を検証するため1年間、研究を延長させたため。
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