2020 Fiscal Year Research-status Report
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20K21912
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Research Institution | National Defense Medical College |
Principal Investigator |
宮崎 裕美 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 外傷研究部門, 助教 (30531636)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
角井 泰之 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 生体情報・治療システム研究部門, 助教 (30806451)
佐藤 俊一 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 生体情報・治療システム研究部門, 教授 (90502906)
齋藤 大蔵 防衛医科大学校(医学教育部医学科進学課程及び専門課程、動物実験施設、共同利用研究施設、病院並びに防衛, 防衛医学研究センター 外傷研究部門, 教授 (90531632)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2023-03-31
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Keywords | 三次元培養皮膚 / 脈管構造 / 皮膚付属器 |
Outline of Annual Research Achievements |
重症熱傷や高齢者に頻発する難治性皮膚潰瘍など、保存的治療では治癒しない創に対し皮膚移植は欠かせない。近年の創傷治療において、感染を制御し良好な生着や早期の上皮化のみならず、機能的にも整容的にもいかに回復再生させるかが大きなテーマとなってきた。しかし現在臨床で使用されている皮膚の再生医療等製品には、毛細血管やリンパ管などの脈管系のみならず、皮膚器官に特徴的な汗腺や毛包などの付属器は備わっていない。本研究は、ヒト皮膚由来細胞に細胞外マトリックス成分の薄膜を形成し自己組織化を促す技術をもとに、複数種類の細胞からなる表皮/真皮一体型で脈管系・皮膚付属器を備えたヒト培養皮膚の構築を目指した萌芽研究である。3年計画の1年目では、(1)細胞外マトリックス成分を薄膜形成したヒト皮膚由来繊維芽細胞と微小血管内皮細胞およびリンパ管内皮細胞を24時間共培養した後、表皮角化細胞を積層した。7日間表皮角化細胞の分化を行うことで、毛細血管およびリンパ管ネットワークを形成した培養皮膚の構築に成功した。播種する細胞数に応じて、血管およびリンパ管の密度をそれぞれ制御することも可能であった。(2)汗腺幹細胞と繊維芽細胞の共培養による皮膚付属器の形成に取組み、経過を観察している。また、表皮角化細胞を含めた共培養も検討を開始した。今後、幹細胞の培養状況に応じて、ヒトiPS細胞から皮膚付属器前駆細胞を誘導する実験モデルにシフトするか見極める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題において基盤となる細胞の自己組織化を促す三次元組織構築法が樹立済みであったこと、脈管系構築に係る基本技術も開発済みであったことから、共培養系の実験が比較的順調に進んだ。構築した三次元培養皮膚の解析についても、概ね順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
皮膚代用品の構築として、研究計画には脈管系のみならず皮膚付属器として汗腺や毛包など複数掲げている。本年度は研究対象として脈管系と汗腺に焦点をあてたが、脈管構造を持つ培養皮膚に汗腺を組込んだモデルは検討していない。種々の細胞の相互作用を期待し共培養系を開発することで、機能的な培養皮膚の構築を目指す。また、幹細胞を用いて皮膚付属器の形成を目指しているが、付属器への誘導能が不十分である場合は、ヒトiPS細胞から前駆細胞を誘導する実験モデルにシフトする。
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Causes of Carryover |
購入の手続きを進めていた試薬類の輸入手配に時間を要し納期が2021年度にずれ込んだため、翌年会計となり次年度使用額が生じた。次年度に計画していた試薬や消耗品類と合わせて執行する。
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Research Products
(2 results)