2023 Fiscal Year Annual Research Report
転移性骨腫瘍治療を指向した機能性ナノカーボン粒子の創製
Project/Area Number |
20K21914
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
中村 真紀 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (00568925)
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Project Period (FY) |
2020-07-30 – 2024-03-31
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Keywords | 転移性骨腫瘍 / ナノカーボン / ビスホスホネート / リン酸カルシウム / 破骨細胞 |
Outline of Annual Research Achievements |
転移性骨腫瘍では、骨に到達したがん細胞が破骨細胞を活性化して増殖することで骨の損傷が進み、患者のQOLを著しく低下させる。本研究では、患部において破骨細胞の活性を低下させ、骨の再生を促進することのできる転移性骨腫瘍治療システムの創製のために、それ自身も破骨細胞抑制効果を有すると考えられるナノカーボンに、治療薬などを搭載(担持)した複合ナノ粒子の作製と評価を行う。 これまでに、カーボンナノホーン、リン酸カルシウム、ビスホスホネート(破骨細胞抑制剤)の3成分からなる複合ナノ粒子を作製し、破骨細胞の前駆細胞であるマウスマクロファージ様細胞(RAW264.7)、ならびに、RAW264.7を分化させて得た破骨細胞に対して優れた細胞生存率抑制効果を示すことを確認した。今年度は、RAW264.7を破骨細胞に分化させる際に複合ナノ粒子を共存させ、破骨細胞への分化に複合ナノ粒子が与える影響について検証を行った。 破骨細胞への分化を誘導するタンパク質であるreceptor activator of nuclear factor kappa B ligand(RANKL)を添加した培地中で、複合ナノ粒子をRAW264.7と共存させ、培養4日後に破骨細胞のマーカーである酒石酸抵抗性酸性ホスファターゼ(TRAP)で染色し、1ウェル内の破骨細胞数をカウントした。その結果、複合ナノ粒子の濃度依存的にRAW264.7から分化する破骨細胞の数が減少し、特に高濃度条件で添加した場合には、細胞がほとんど観察されなかった。これまでの検討により、同濃度条件でのRAW264.7に対する細胞生存率抑制効果が強力であったことから、分化をする前にRAW264.7が大幅に減少したと考えられた。また、カーボンナノホーン自身が破骨細胞への分化を抑制した可能性を示唆する結果も得られた。
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